第443話 彼の正体


「あれ? 彼、今日はログインしてないですね。何かあったんでしょうか?」


「彼も人間なんだから、そりゃ何かしら予定があってログインできない日などザラにあるだろう」


 まぁ、それでも彼がログインしていないのは珍しいな。彼がログインしていなかった日を思い出せと言われても難しいほどだ。


「えー、どんな予定なんでしょうね? ゲームより大切な予定なんて何がありますかね?」


 いや、あるだろ。ってか予定なんてものは基本的にゲームよりも大事なものしかないだろ。ゲームよりも優先したいものを予定と呼ぶのだから。


「それにしても彼がいないと急につまらなくなりますね。私たちも休みにしますか?」


 前半の方は普通に賛成できるが、後半の方は賛同しかねるな。そんな都合で休みを与えたら終いには眠たいからという理由でも休みになりそうだ。


「まあ、冗談はおいといて、夜ご飯何にします?」


 良かった、冗談だったのか。って、ん? 夜飯? 今まだ12時前だぞ? 昼ご飯すらまだ食べてないぞ?


「……冗談ですよ?」


「……知ってるぞ?」


 彼がいないとこんなくだらない会話まで生まれてしまうのか。いかに私たちが彼に頼っているかが窺えるな。


「あ、そういえば彼ってどんな仕事をしているんでしょうね? 結構ログインしてくれてる印象ですけど、仕事していないんですかね?」


「ん、彼の年齢的に大学生じゃないのか?」


「大学生にしてもログインしすぎじゃ無いです?」


「私の時ならまだしも今の時代オンラインだろう? 後でまとめて受講する感じならいくらでもログインできるだろう。それに、ログインしながらでも外部サイトにアクセスすれば授業すら受けられるだろう」


「あー確かにそうですねー。ん、でも彼が授業受けたり、勉強してたりしてるのを見たことありますか? 少なくとも私はないんですが」


「……確かにないな」


 ってか、彼の監視は後輩がメインで行っているのだから、彼女がなければ私にあるはずないだろう。


「彼は一体何をしてるんでしょうねー?」


「彼が何をしているかを知ることはできないが予測することはできるんじゃないか?」


「え、どういうことですか?」


「彼の毎日のログイン時間を見れば彼がどんな生活スタイルなのかを知ることができるだろう? 早寝早起きなのか、夜更かし方なのか、それだけでも職種、業種などは絞られるんじゃないか?」


「確かに! えーっと……彼は深夜型と思ったら意外と早寝早起きなんですね。って、これじゃあ全然絞れないじゃないですか!」


 あ、バレたか。


 ってか、そもそも流石にプレイヤーの個人情報を取得しようとするのは不味いんじゃないか? 法律的にはセーフでも倫理的にはアウトだろ。ってか、そういえば最近プライバシー法が制定されたんだっけ? どちらにせよ気をつけないといけないよな。








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私の正体はなんなのでしょうね?

勿論、ハムスターですよ????

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