対帝国戦争編

第264話

~ハルが異世界召喚されてから1日目~


 見覚えのある路地裏。


 見覚えのある臭い。


 見覚えのある湿気と気温。


 見覚えのあると言っても良いのだろうか?


 同じ時間と場所であるにも拘わらず、ハルの感じる景色は違って見えた。なんと言って良いかわからないが、形容する色彩が増えたようなそんな気がした。


 ──確か、フェルディナンと別れた時もこの場所に新鮮さがあったような……


「ああ~僕は成長してんのか!?同じことの繰り返しをしてないか!?」


 頭を抱えていると、聞き覚えのある声がした。


「オイ!お前!なに騒いで──」


 ハルは駆け出した。


 そしてステータスを確認した。


【名 前】 ハル・ミナミノ

【年 齢】 17

【レベル】 72

【HP】  680/680

【MP】  726/726

【SP】  745/745

【筋 力】 634

【耐久力】 638

【魔 力】 750

【抵抗力】 640

【敏 捷】 689

【洞 察】 686

【知 力】 1631

【幸 運】 80

【経験値】 1180105/1680000


・スキル

K繝励Λ繝ウ

  人体の仕組み

  諠第弌縺ョ讎ょソオ

  自然の摂理

  感性の言語化

  第六階級火属性魔法耐性(中)

  第五階級火属性魔法耐性(強)

  第四階級以下火属性魔法無効化

  第四階級水属性魔法耐性(中)

  第三階級水属性魔法耐性(強)

  第二階級以下水属性魔法無効化

  第四階級風属性魔法耐性(中)

  第三階級風属性魔法耐性(強)

  第二階級以下風属性魔法無効化

  第四階級土属性魔法耐性(中)

  第三階級土属性魔法耐性(強)

  第二階級以下土属性魔法無効化

  第四階級雷属性魔法耐性(中)

  第三階級雷属性魔法耐性(強)

  第二階級以下雷属性魔法無効化

  第三階級闇属性魔法耐性(中)

  第二階級闇属性魔法耐性(強) 

  第一階級闇属性魔法無効化

  第四階級光属性魔法耐性(中)

  第三階級光属性魔法耐性(強)

  第二階級以下光属性魔法無効化

  恐怖耐性(強)

  物理攻撃軽減(強)

  激痛耐性(強)

  毒耐性(中)

  槍技三連突き

  剣技連撃

  剣技十字斬り

  剣技一閃

 

・魔法習得

  第一階級火属性魔法

   ファイアーボール

   ファイアーウォール

  第二階級火属性魔法

   ファイアーエンブレム

   フレイム

   ヒートヘイズ

  第三階級火属性魔法

   ファイアーストーム

  第四階級火属性魔法

   ヴァーンストライク

   ヴァーンプロテクト 

  第五階級火属性魔法

   フレアバースト

  第六階級火属性魔法

   ──

  第七階級火属性魔法

   鬼火


  第一階級水属性魔法

   ウォーター

  第一階級水属性魔法

   スプラッシュ

  第三階級水属性魔法

   アクアレーザー

  第四階級水属性魔法

   ショックウェーブ

  第五階級水属性魔法

   スプレッドスウォーム


  第一階級風属性魔法

   ウィンドカッター

  第二階級風属性魔法

   ウィンドスラッシュ

  第三階級風属性魔法

   トルネイド

  第四階級風属性魔法

   エアブラスト

  第五階級風属性魔法

   エアリアル


  第一階級土属性魔法

   ストーンバレッド

   サンドウォール

  第二階級土属性魔法

   ストーンブラスト

  第三階級土属性魔法

   プロジェクション

  第四階級土属性魔法

   ロックレイン

  第五階級土属性魔法

   アースシェイク

 

  第一階級雷属性魔法

   サンダー

  第二階級雷属性魔法

   サンダーブレード

   サンダーウォール

  第三階級雷属性魔法

   ライトニング

  第四階級雷属性魔法

   ヴォルティックウェイブ 

  第五階級雷属性魔法

   サンダーボルト


  第一階級闇属性魔法

   ブラインド

  第二階級闇属性魔法

   アイテムボックス

   ヒプノシス

  第三階級闇属性魔法

   ブラックアウト

  第四階級闇属性魔法

   フェイスフル

   ダークネス

   クワイエットプレイス

  

  第一階級光属性魔法

   シューティングアロー

   ミラージュ

  第二階級光属性魔法

   プリズム

   イリュージョン

  第三階級光属性魔法

   サンシャイン

   バニッシュ

  第四階級光属性魔法

   テクスチャー

   シャイニング

  第五階級光属性魔法

   レイ


  第一階級聖属性魔法

   ヒール

   ブレイブ

   プロテクション

  第二階級聖属性魔法

   プロテクションヒール

   ブレイブバイス

  第三階級聖属性魔法

   リザレクションヒール

   ハイヒール

  第四階級聖属性魔法

   エスナ

  第五階級聖属性魔法

   レイズデッド 


  無属性魔法

   錬成Ⅱ


 レベルが上がっているのを確認したハルはあの白髪ツインテールの少女を倒したのだと悟った。しかしその直後に殺されかけた。あの赤い髪の少女に。


 ──確か名前は、ミラ・アルヴァレス……


 ハルはこの名前の響きに懐かしさを感じていた。


─────────────


〈酒場〉


 違う人間になりたかった。


 ここには私を知る者などいない。


 口調も変えて男達とカードゲームに興じる。


 私は別人になりたかった。


「何見てやがんだガキ!」


 オデッサは入り口を見やると、立派な服を着た少年が酒場の入り口に立ち、オデッサの前へ立つ。オデッサは自分の正体をこの少年が知っているのかと訝しみ、質問する。勿論口調を変えて。


「どうしたの?坊や?」


「今夜だけ僕に力をかして下さい!?」


「はぁ?」

「はあ?」

「はぁぁぁ?」


「いいわよ?」


 急な申し出に答えるオデッサ。自分でもなぜこのような返事をしたのかわからない。この少年のたたずまいに気を許したのかもしれない。


「え?」

「えぇ?」

「えぇぇ!?」


 一緒にカードゲームをしていた男達は狼狽えた。


「ただし…これからカードゲームをして私に勝ったら…ね?」


 ルールは神経衰弱。


 少年は名乗る。


 ──ハル・ミナミノ……聞いたことのない名前だ……


 オデッサは条件として自分が勝った場合の提案をしなかった。何故ならこの少年の正体を探るのに集中していたからだ。

 

 先手をミナミノ少年に譲ったオデッサ。


 少年はゆっくりとカードを捲り、確実に覚えるように努めている。


 ──しかし、無駄だ。


 オデッサは先程まで男達にしていたイカサマを披露する。


 眼に見えない速度で配置を入れ替えようとしたその時、オデッサの腕を少年が掴む。


「なっ!!」


 オデッサは思わず声を漏らした。


 周りの男達は何がなんだかわかっていない。


 少年が言った。


「貴方の力を貸して下さい」


「な、何なのだお主は!?王国の回し者か!?」


 オデッサはいつもの口調に戻ってしまった。


「僕は知っている。貴方が恐怖に怯えても尚、立ち上がり、戦うことができる人だってことを」


「わ、私の何を知っていると言うのだ!!」


 オデッサは自分の動きを見破られ、更に今会ったばかりの少年に自分世話焼きをしているロイドと同じ台詞を言われて狼狽えた。そしてこの場から全力で走り去った。


 男達は目の前にいた女が消えたことに驚いたと同時に気が付いた。


「あれ?あのガキは?」

「いない……」

「なんだったんだ!?」


 オデッサは外に出るとハルが後を追ってくる。


 ──私の速度についてくるのか!?


「く、来るな!!」


「時間がありません!お願いします!僕に力をかしてください!!」


「お主は何者だ!?」


「貴方の味方です!!」


「信じられるか!!」


─────────────


「そうそう、あそこの息子さん大変らしいわよぉ~」


「聞いたわよぉ~お父さんと揉めちゃってねぇ」


 買い物籠を腕に提げて手首のスナップを効かせながら風をあおぐようにして会話している2人の主婦は、王都の噂話に興じている。


「奥さんはとても優しいのにねぇ」


「でも、あれよ?優しすぎると良くないって聞くわよ?」


「そうねぇ~」


 彼女達はいつもここで話しては日常に抱える不満を誰かを貶めることで解消していた。


 そんな彼女達の陰鬱な日常は突如として崩れる。


「うちの子なんかぁ~」


 ドドドドドドド


 何かが彼女達の横を過ぎ去った。


 着こなしているロングスカートが激しくあおられ、踏ん張りが効かない。


「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」


 婦人達は飛ばされ、地面に転がる。そして過ぎ去った何かの行方を追ったが何も見えなかった。


 オデッサとハルは王都を駆け抜ける。


 途中で何人かを吹き飛ばしてしまった為に、今は建物の屋根の上に戦場を移した。


 ──くっ!まだついてくるか!!


 オデッサは気が付くと自分の家にたどり着いていた。そして後ろにいる少年に告げる。


「いい加減、諦めたらどうだ!?」


「そうもいかないんです!貴方の力が必要なんです」


「その速度で私に付いてこれるなら、1人で何でも出来るだろ!私はもう誰かの力にはなれない」


「どうしてですか?」


「私は戦うことを諦めた」


「……どうして?」


 少年は恐る恐る聞いてくる。


 ──気遣っているのか……今まで散々話してきたことだ……今さら恥じても仕方がない……


 オデッサは見ず知らずの少年に吐露する。


「どうにもならない強さを目の当たりにしたからだ」


「じゃあ僕が貴方より強ければ力をかしてくれますか?」


「私より強ければ、尚更私は必要ないだろ」


「いいえ、それでも必要なんです。貴方の力が」


 ここまで言われれば悪い気はしない。しかしオデッサには少しだけ気にくわないことがあった。それは、自分よりも強いとこの少年が自負しているところだ。強さを諦めたとは言え、子供に負ける訳ないとオデッサは思っている。


 ──まぁ確かに速さは認めるが……


「ならば私と…今度はカードゲーム等ではなく、剣で勝負しろ」


「宜しくお願いします!」

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