第40話
~ハルが異世界召喚されてから1日目~
ハルは図書館へ行く道中ステータスを確認した。
【名 前】 ハル・ミナミノ
【年 齢】 17
【レベル】 12
【HP】 123/123
【MP】 126/126
【SP】 151/151
【筋 力】 88
【耐久力】 109
【魔 力】 116
【抵抗力】 104
【敏 捷】 101
【洞 察】 105
【知 力】 931
【幸 運】 15
【経験値】 2550/2600
・スキル
『K繝励Λ繝ウ』『人体の仕組み』『諠第弌縺ョ讎ょソオ』『自然の摂理』『感性の言語化』『アイテムボックス』『第四階級火属性魔法耐性(中)』『第三階級火属性魔法耐性(強)』『第二階級以下火属性魔法無効化』『第一階級水属性魔法耐性(中)』『槍技・三連突き』『恐怖耐性(強)』『物理攻撃軽減(弱)』『激痛耐性(弱)』『毒耐性(弱)』『受け流し』
・魔法習得
第一階級火属性魔法
ファイアーボール
ファイアーウォール
第二階級火属性魔法
ファイアーエンブレム
第四階級火属性魔法
ヴァーンストライク
ヴァーンプロテクト
第一階級水属性魔法
ウォーター
第一階級風属性魔法
ウィンドカッター
第一階級闇属性魔法
ブラインド
無属性魔法
錬成Ⅱ
スキルの中の文字化けがもう1つ解けて、『人体の仕組み』になっている。
それのお陰で無属性魔法の錬成が錬成Ⅱとやらに更新されている。今まで無意識にやっていたことだったようだが、習得してからやってみるとどうなるのだろうか。
「オイ!」
──あぁコイツらで試そうか?いやいや!弄ぶのはよくない!あの最低なホブゴブリンと一緒じゃないか!
ハルはその場から去る。人混みに紛れながらハルはフェレスについて考えた。
『落とし穴にかかったら得意の火属性魔法でやっつけるにゃ!』
あの時感じた違和感とは、
「火属性魔法を唱えていなかった僕が、どうしてそれが得意だってわかったんだろうか…そしてあの眼…スキルの恐怖耐性(中)が(強)になるし……」
ハルはこれからの動きについて考えた。元は東の帝国によるルナ暗殺の阻止が目的だ。しかし、帝国が何故ルナを暗殺しようとしているのかわからない。
──普通だったらルナさんの聖属性魔法が脅威だからだよな……
ハルは帝国の密偵であるスタンを泳がせて情報を得ようと考えた。
自分の情報が帝国に流れる分ならまだ構わない。おそらく前回の世界線では、ハルが魔法学校襲撃の脅威になり得ると判断された為、襲撃は行われなかった。そのお陰で死人はでていない。
時間を掛けてでも情報を得るべきだとハルは考えた。もし何かトラブルが起きたのならそれを経験し、何かしらのきっかけで戻ってやり直せば良い。
先程死にかけたが、次からは冷静さを心掛ける。
──いくら怒りがこみ上げても後先考えずに行動しないようにしよう
取り敢えず5日後のレベルアップ演習に行くためにお金を稼ごうと思い直したハルは気がつく。
「ってまた最初からかよ!!」
ハルはポケットに手を入れて確認したが、スマートフォンしか入っていない。
死ぬ思いをして得た報酬は無属性魔法とアイテムボックスを唱えられるようになったことぐらい。残った報酬を確認するかのようにアイテムボックスを出した。
中を確認すると7万ゴルドとゴブリンジェネラルの大剣、ゴブリンメイジの杖とローブが入っていた。
「…え?やった!!レベルとステータスとアイテムボックスの中は引き継げるってこと!!?」
ゴーン ゴーン
「戻ってんじゃねぇか!!」
~ハルが異世界召喚されてから1日目~
「そうと分かれば今日の夜まで、魔物を狩る!2日目に魔の森であの三馬鹿…3人パーティーの冒険者と会って、素材を売ってくれるよう頼めばいい」
ハルは魔の森へと駆け出した。
<魔の森>
グリズリーベアーが現れた。灰色の毛並みを逆立て、二本足で立ち上がるその姿はゴブリンジェネラルと同じくらいの大きさだ。
ハルはゴブリンジェネラルの大剣を取り出した。両手で柄を握りしめ、大剣を横に、地面と平行になるように構えた。そして唱える。
「錬成…」
いつものように魔力を纏うだけでなく、自分の筋肉、筋繊維、筋肉の密度、それに対する骨の強化をイメージした。さっきまで少しだけ重たいと感じていた大剣が軽くなる。
ハルは構えながら間合いをジリジリと詰めると、グリズリーベアーが攻撃に転じる。二足歩行の状態から両腕をあげ、ハルに覆い被さるようにその両腕を振り下ろした。
攻撃が当たる寸前に、ハルは構えた大剣を薙ぎ払う。
グリズリーベアーは上半身と下半身を綺麗に裂かれ、下半身、上半身の順に地面に力なく倒れた。
二分されたグリズリーベアーをそのままアイテムボックスにしまう。
「よし次!」
マッドボアが現れた。
茶色い毛に全身を覆われた巨大イノシシのような出で立ちだ。尖端に大きく縦にあいた二つの鼻の穴から、獲物の臭いを敏感に嗅ぎわける。その両脇には2本の角が、短い角ながらも勇ましく生えていた。
マッドボアはハルを見付けると、その特徴的な大きな鼻を押し付けるようにして突進してくる。
「錬成…」
今度は脚の筋肉と背筋、腕の筋肉と胸筋を強化するイメージでマッドボアが近付いてくるのを待つ。
激しい足音をたてながらハルと激突した。
「どすこぉい!」
ハルは初めは、力士のように低い姿勢からマッドボアを受け止めたが、予想以上に衝撃がなかったので、そこから片手でマッドボアの鼻先をおさえて、近くにある短い角を掴んだ。
片手でマッドボアの角を掴むと、持ち上げて地面に叩きつける。
マッドボアが立てた足音よりも数倍大きな音が魔の森に響き渡る。
以前の倍の強い力を出せているとハルは錬成Ⅱを評価した。
ハルはこの後グリズリーベアーとマッドボアを3体ずつ計4体+4体=8体を回収し、路地裏へと向かい、ルナと合流した。
~ハルと異世界召喚されてから2日目~
<魔法学校実技試験>
鉄の箱に1メートル程の棒がいくつも刺さっている。その棒の先に的が付いていた。
レイがすべての的に当てる。
「おお~」
次はハルの番だ。ハルは片手を前へ押し出し唱える
「フレイム!」
掌から広範囲に放たれた火炎は全ての的を燃やす。黒焦げになった鉄の箱だけを残した。
「なっ!!」
「ッ!!?」
全員が呆気にとられている。その中でレイは歓喜を滲ませていた。
──とりあえず、ここで第二階級魔法を披露して、明後日の襲撃を阻止する!
アレックスとマリアと知り合い、Aクラスに合格する。
<魔の森>
「がぁぁぁ」
「うわ~」
「きゃ~」
キラービーの群れに襲われてる冒険者三人組。
ハルはファイアーボールを唱えた。
一回のファイアーボールで5匹は倒せる。
それをあと2回繰り返してキラービーを全滅させた。
「もしなんかあったらいつでも俺らに声かけてくれよな?」
「あの…早速で申し訳ないんですけど……」
ハルはおもむろにアイテムボックスからグリズリーベアーとマッドボアを4体ずつ出し、ゴブリンメイジのローブと杖を出した。ゴブリンジェネラルの大剣は今後も使いそうだったので出さなかった。
「ハル?お前…これ?」
「アイテムボックス?」
「?」
リッドは何が何だかわかっていない様子だ。
「アイテムボックス持ちなの?ねぇねぇ?」
キャスカがハルの腕を持って詰め寄る。大きな胸が当たっていた。
──昔の僕ならここで戻ってたな…でも剣聖オデッサの胸に顔からダイブしたんだからこのくらいではもう戻らない。成長を感じる……
「俺達のパーティーに入ってくれ!」
あまりの熱烈なオファーに圧倒されたハルは自分の考えを述べた。
「とりあえず卒業までは待ってほしいです……」
「……そうだよな……それでこの大層な素材とアイテムは?」
アンディとキャスカはアイテムボックス持ちに気を取られていて、素材の凄さは二の次になっていた。
「はい。僕はまだまだ学生で、両親が卒業するまでは冒険者ギルドに登録してはダメだって言うんです。ギルドに登録していないと素材も売れないので僕の変わりにこれらを売ってきて欲しいんです」
「その実力で冒険者ギルドの許可が得られねぇって、ハルの両親はずいぶん過保護だな……」
「ハハハハ…そうなんですよ……」
<冒険者ギルド解体所>
「ここに素材をのっけてくれ」
食肉加工をするようなエプロンを着たモヒカン頭の男が鍛え上げられた腕を組ながら言った。
「ハル。やってくれ」
アンディが促すと、
ハルはアイテムボックスからグリズリーベアーとマッドボア、計8体を並べた。
「おお!すげぇなお前ら!まだEランクなんだろ?これならすぐにでもDランクに上がれるぞ?」
「「「いやぁ~」」」
三人は同じ様に照れた仕草を見せつける。
──謙遜しないタイプの三人だな……
ハルがジト目で三人の照れてる姿を見ていた。気を取り直してハルは言った。
「あとこれも売れたりしますか?」
ハルはゴブリンメイジの杖とローブを取り出した。解体所の男が目を丸くする。
「こ、これをどこで!?」
「ん~と洞窟の中?」
杖を手に取る男。その逞しい手に握られる魔法使い様の杖がとても不釣り合いに見えた。
「こいつはすげぇなゴブリンメイジの杖とローブじゃねぇか」
「ゴブリンメイジ!?」
キャスカが大きな声で叫ぶ。
「あぁそうさ、コイツと会ったが最後、冒険者はコイツの第二階級魔法フレイムで焼け死ぬのがオチだぜ?しかし坊主ラッキーだったな?これ拾ったんだろ?」
「ぇ…あ、はい」
「この2つセットで16万ゴルドだ」
「「「「16万!!!」」」」
4人の声が揃う。端から見たらハルもこのパーティーの一員のように見えただろう。
「当たり前だろ?コイツの討伐はBランク以上のクエストになるんだからな?」
グリズリーベアー1体×3000ゴルド
マッドボア1体×1000ゴルド
合計17万6000ゴルドを手にハル達は解体所をあとにした。
「あの…これ」
ハルは3人に2万ゴルドずつ、合計6万ゴルド渡した。
「良いのかよ!?」
アンディが恐る恐る聞く。
「はい!皆さんがいなかったら売れなかったので……」
「お、お前、最高じゃねぇかよ!」
「ありがとぉぉぉぉ!」
「兄貴ぃぃぃぃぃ」
3人がハルに抱きつく。
「こちらこそありがとうございます!」
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