第35話

~ハルが異世界召喚されてから4日目~


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

【Eランククエスト】

~ゴブリンをぶっ潰せ!~


『報酬』

・討伐したゴブリン数×500ゴルド


『クエスト達成条件』

・ゴブリンの討伐

・証明としてゴブリンの右耳の回収


『場所』

・フルートベール王国領サザビー


『ワンポイントアドバイス』

・犯されないように頑張ってね♡


┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 

 冒険者のランクとレベルの相関性。あくまで目安。


Sランク  レベル35以上

Aランク  レベル25以上

Bランク  レベル20

Cランク  レベル15

Dランク  レベル10 

Eランク  レベル8

Fランク  レベル6

Gランク  レベル5


 目的地は王都を出て西、サザビーという街の近くだ。サザビーまでは馬車に乗って2時間かかる。


 現在、ハルとフェレスはサザビーを目指して馬車に乗ってる。馬車と行っても金を払って乗るような上等なものではなく、商人の荷物が乱雑に置いてあるガタガタの馬車だ。


 フェレスは息巻いて馬車に乗ろうとしたのだが、ハルの分はおろか自分の運賃すら持っていなかった。財布を逆さにして何も入っていないことをハルに悲しい目で知らせてきたのだ。尻尾もうなだれていた。


 丁度サザビーに行く商人の荷馬車に護衛としてタダで乗れたのはよかった。


 フェレスは猫の獣人で頭に2つのフワフワな耳とお尻に尻尾が生えてる以外は人族とあまり変わりがない。でもよく見ると鋭い牙と鋭い爪、大きな胸もある。性別は女性のようだ。


 二人は狭い荷馬車に胡座をかいて座っていた。


「Sランク冒険者って今どのくらいいるんですか?」


「2パーティーにゃ!」


「2パーティーともレベル35以上の方達から構成されてるんですか?」


 フェレスは腕を組んで考えた。


「ん~にゃーの見立てでは2パーティーとも丁度レベル35が1人いてあとはレベル20代がサポートしてる感じにゃ!?」


「凄い……」


「ただその1つのパーティーに1人だけ……」


 フェレスは鋭い爪が伸びた人差し指を一本立てて言った。


「1人だけレベル50の化け物がいるにゃ」


 ハルはフェレスの人差し指を寄り目でみつめながら驚いた。


「50!!?」


「にゃははは!いい反応にゃ~♪この星にはまだまだ未知なことが拡がってるにゃー、それよりも強い奴がまだどこかにいるかもしれないにゃ?」


 ハルは感心した。あの剣聖と紫色のドレスを着た女はレベルどのくらいなのだろうか?


「そういえば、どうしてレベルが分かるんですか?」


 ハルの質問を受けてフェレスの眼が怪しく光る。


「猫の獣人は生まれつき鑑定のスキルを持ってるんだにゃ?」


 今までふざけた口調で話していたフェレスが少し低いトーンになった。


 ハルは急に寒気がする。


 ──じゃあ僕のレベルまでわかってるんじゃ……


 フェレスは先程までの真剣な表情を崩して笑った。


「嘘にゃ~!!そんなの持ってないにゃ!鑑定スキルを持ってる奴とか冒険者ギルドにある石板でわかるにゃ」


「このやろう……」


 フェレスは一頻り笑ったあと、何もないところから闇を出現させた。フェレスはそこに手を突っ込んで水の入ってる瓶を取り出した。


「それっなんですか!?」 


 ハルは大きな声を出して言った。


「これにゃ?これはアイテムボックスにゃ!この中にアイテムや武器や素材を収納してぇ、いつでもどこでも取り出せるスーパー便利なものにゃ!」


 フェレスはアイテムボックスから寝間着や鼻メガネ、青色のに光る毛皮、ドラゴンの様な頭蓋骨を取り出してハルに自慢してくる


「にゃーはこの魔法で皆から一目置かれてるのにゃ!これのお陰でにゃーは仲間達の荷物運びにゃ!って誰が荷物運びにゃぁ!」


「そんなことは言ってないって!でもそれってどうやるんですか?」


「むふふふ、これは、にゃーの血と汗の結晶なのにゃ!ギルドでも5、6人いや7、8、9、10人くらいしかできないにゃ!」


 腕を組ながらうんうんと頷くフェレス。


「闇属性魔法の一種ですか?」


「ぎにゃ!なんでわかったにゃ?正確にはスキルにゃんだが、にゃーの見立てでは闇属性魔法の解釈が必要にゃ」


「例えばこんな感じですか?」


 ハルは自分の掌から闇属性魔法を展開した。


 ──闇…無限に広がる空間、全てを飲み込む……


 ハルの掌から闇が渦巻き、重力がおび始めると、


「ま、待つにゃ!」


 フェレスが慌てて止めた。


「え?」


「できてたにゃ!できたを通り越してにゃーとこの馬車を飲み込もうとしてたにゃ!」


「やった」


ピコン

新しいスキル『アイテムボックス』を習得しました。


 やはり、新しいスキルを覚えたとしても戻ることはない。


「やっぱり君は面白いやつにゃ」


 フェレスがハルに称賛の言葉を送ると、馬車が急停車した。


 ハルとフェレスはともに進行方向に身体が傾き、また元の体勢へとドスンと戻った。


「野盗か魔物どっちにゃ?」


 フェレスは大きな声で馬を御している商人に訊いた。


「ま、魔物です!ゴブリンです!ゴブリンの群が……」


 商人の声は震えていた。


「お手並み拝見にゃ」


 フェレスはハルを見やる。


「はい!」


 前方には武器を構えたゴブリンが6体いた。小さな体躯、老人のようなしわくちゃな顔に汚ならしい身体、それぞれボロボロの衣服を身にまとい、これまたボロボロのナイフや長剣、棍棒などを持っている。


 フェレスを見ると寒さを堪えるように震えていた。


「にゃーはゴブリン苦手にゃ!!気持ち悪いにゃ!」


「じゃあなんでこのクエスト受けたんですか!!」


「初討伐クエストならゴブリンって軽い読み物ならお決まりにゃ!」


 ハルはゴブリン6体が横並びになり、扇型の陣形をとっているその前に立った。


 6体が一斉に襲いかかる。


 真っ先にハルに到達した棍棒を持ったゴブリンが、ハルの脳天目掛けて棍棒を振り下ろした。しかし、ハルは魔力を込めた拳をそのゴブリンの腹部に放つと、下半身だけを残して胴体が散る。


「え?」

「にゃ?」

「ひっ!!」


 ハルとフェレスは驚き、商人は怯えていた。


 ハルはレベルアップして初めて魔力を込めたパンチを放ったが、まさかここまでの威力を出すとは予想していなかった。


 ──ゴブリンが弱いのもあるかもしれないけど……


 そしてハルは身体中に鳥肌が立った。初めて大きなゴキブリをティッシュの上から潰した感覚を思い出していた。


 ──メキッブチッみたいな感触……あと5回もそれやるのか……


 残る5体はハルの攻撃を目の当たりにすると足を止め動かなくなった。


「ハハハ、予想外」


 ハルの攻撃を見たフェレスが呟く。フェレスは素がでると普通の喋り言葉になるようだ。


「あ!しまった!素材が!」


 小刻みに震えてる5体のゴブリンを水属性魔法と風属性魔法の並行魔法で溺死させた。


 ゴブリン5体の右耳を回収する。


「今の魔法はなんにゃ?」


「今のは水属性と風属性魔法の応用です」


「…というか、あのパンチはなんにゃ?なんでそんなに威力があるにゃ?」


「鍛えたんで……」


「筋肉にゃ!?」


 このあとまたゴブリンを数体と魔物であるハウンドベアを相手にした。ハルは素材を覚えたてのアイテムボックスに回収した。


 しかし、サザビーへ向かう道中にしては魔物が多い。


「おかしいにゃ…確かにこの道はゴブリンが出てもおかしくはないにゃ……それでも出現しすぎにゃ…」


 フェレスは静かに眉をひそめた。


【名 前】 ハル・ミナミノ

【年 齢】 17

【レベル】 12

【HP】  121/121

【MP】  108/124

【SP】  149/149

【筋 力】 86

【耐久力】 107 

【魔 力】 114

【抵抗力】 102

【敏 捷】 99

【洞 察】 103

【知 力】 931

【幸 運】 15

【経験値】 925/2600


・スキル

『K繝励Λ繝ウ』『莠コ菴薙�莉慕オ�∩』『諠第弌縺ョ讎ょソオ』『自然の摂理』『感性の言語化』『アイテムボックス』『第四階級火属性魔法耐性(中)』『第三階級火属性魔法耐性(強)』『第二階級以下火属性魔法無効化』『第一階級水属性魔法耐性(中)』『恐怖耐性(中)』『物理攻撃軽減(弱)』『激痛耐性(弱)』『毒耐性(弱)』

  

・魔法習得

  第一階級火属性魔法

   ファイアーボール

   ファイアーウォール

  第二階級火属性魔法

   ファイアーエンブレム

  第四階級火属性魔法

   ヴァーンストライク

   ヴァーンプロテクト


  第一階級水属性魔法

   ウォーター


  第一階級風属性魔法

   ウィンドカッター


  第一階級闇属性魔法

   ブラインド


  無属性魔法

   錬成

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る