エピローグ

 「ありがとうね。エルくん。また助けてもらって。」


 「いえいえ。いつもお世話になっていますし,俺にできるのはこれくらいですから。」


 「おねーちゃん!これなんてよむの?」


 「これはね,『あなたを必ず迎えに来る』って書いてあるよ。かっこいいね。」


 「うん!」



 この村は20年前戦争で全部燃えてしまった場所だ。その戦争を僕は知らないけれど,大人たちはみんなでこの村を復活させようとしたのだと,教会にいつもいるおばあちゃんもパン屋のおじさんも言ってる。


 そんな村にいつのまにか旅人が来ていた。

小さい時から2人で旅をしているって話す2人は村の人気者だ。エルは僕たちと遊んでくれたり、今はスーおばあちゃんの家の屋根を直してる。アンはとっても賢くって,まだ学校に行ってない妹たちにも文字を教えてくれるし,僕たちの宿題も手伝ってくれるんだ。


 

 今日も学校から帰ってきてすぐ外に出ると,広場でみんなが遊んでいた。ベンチでは,僕より先に帰っていたドナがアンと話している。


 「勉強嫌い。わかんないもん。ねえ,なんで勉強しなきゃいけないの。」


 勉強への文句だったらしく,ふんふんと聞いていたアンはドナを抱きしめる。


 「時間が無限にあったらね,勉強しなくても沢山のことを知れるの。でも,時間は無限になんかないでしょ。」


 その言葉にこくりとドナはうなづく。


 「だから,知りに行くの。それが勉強。例えば,ほらあそこでルカが泣いてる。泣いてる理由はずっと見てたらわかるかもしれないけど,聞きに行ったらルカは早く笑顔になれるかもしれない!それも勉強。」


 「そっか!じゃあまずはルカのところ行ってくる!」


 ドナはそのままルカのところまで走っていった。


 「ギー。遊ばないのか?」


 目の前にいたのはエルだった。


 「ねえ,エル聞いてもいい?」


 そう僕が言うときょとんとした顔になった。


 「何をだ?」


 「ねえ,なんでエル達は旅人なのにみんなをたくさん助けてくれるの?」


 これ宿題なんだ,かっこいいって思う人にインタビューするの!そう飛びつけば,エルは頭を撫でてくれた。


 「うーん。そうだな。


 今できることがある。

 俺はそれを全部したいんだよ。」


 

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兵器くんと天使ちゃん Siren @GISELLE-siren

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