短編小説
takahiro
短編
目を開いたとき外は明るかった。
どうやら大学の卒論を書いている間に寝てしまっていたらしい。最近は毎日のように夜更かしをして卒論を書き、大学にも行って講義を受けていたから疲れがたまっていたのだろう。立ち上がろうとすると腰がとても痛い。椅子に座って寝てしまったのだからしょうがないと思いながら立ち上がり背筋を伸ばす。固まった筋肉がほぐれていくのがわかった。さて、これからどうしようか。寝落ちするまで卒論を書いたおかげで進捗はとても良い。そういえば昨日の夜ご飯を食べてから何も食べていない。とりあえずコンビニにでも行ってご飯を買いに行こうか。
コンビニに着くとサラリーマンが沢山居た。
昼時だからしょうがないと思いながらも少し辟易してしまう。ここのコンビニはイートインスペースもそれなりに確保されているお陰で、いや、今の気持ち的には確保されているせいで、と言った方があっている気がする。コンビニの中で昼食をとれるし、なんなら喫煙スペースまで確保されているから昼時に来るサラリーマンがとても多い。大学に入るときに一人暮らしをする事が決まり、物件を探している時に近くにコンビニがあり、日当たりもとても良いという事で今の家に住んでいるが、コンビニが便利すぎるのもいささかなものかと、この4年間を通じて思ったりもした。一服し終わると少し人が減ったいた。タイミング的に昼休憩が終わる時間だったらしい。適当なコンビニ弁当とコーヒーを買った。昼飯を食べたら今日中に卒論を終わらせたいな、と思いながら帰途につく。
卒論を進めていると窓から陽が差し込んでいることに気づいた。
昼飯を食べてから結構集中して進めていたからか、もう夕方になっている事に気が付かなかった。ずっとパソコンと向き合っていたからかとても目が疲れた。夜ご飯を買いに行くにはまだ早いし、少し寝ることにしようか。生活習慣なんて単語は大学生になってからというもの失くなっている気がする。ベッドに横たわってそんな事を考えていると俺は意識を手放した。
バイクの音で目を覚ました。
外はもうしっかり暗くなっている。夕方に寝たから大体3~4時間寝てたといったところかな。昼飯をコンビニで食べたから夜ご飯は牛丼でも食べに行こう。一人暮らしを始めてからというものご飯が用意されている事にとても感謝するようになった。自炊なんて滅多にしないし、飲食店でバイトをしているからまかないでご飯を済ませることも多い。一人暮らしするからには自炊をするんだと意気込んでいたころが懐かしい。少し歩くと近所の牛丼屋に着いた。今日はお客さんも少ないようだ。カウンターもテーブル席も殆ど空いている。一人で来てテーブル席に座るのも恥ずかしいので大人しくカウンターに座る。いつものように牛皿定食を頼み、お茶を一口飲む。テーブル席には交通整理の格好をしたおっちゃん二人組が寝ている。お疲れ様です、と心の中で伝えたところでご飯が来た。他のお客さんが少ないからかいつもよりも来るのが早かった気がする。10分ほどで食べ終わりお会計をして外に出る。牛丼屋から家までは東西に延びる大きな国道を通って帰る。夜だからか車通りは少なく、いつもよりトラックが多い。少し視線を上げるとうっすらと西の空に月が見える。明日の朝ご飯が無いことを思い出し、コンビニによるといつも働いている男子高校生がいないことに気づいた。最近よく見かけていて、とても愛想が良かったので印象に残っていたがどうやら今日は休みらしい。家に着くと昼寝はしていたがご飯を食べたせいか眠気に襲われたのですぐにベッドに横になり瞼を閉じた。
外の喧噪で目を覚ました。
窓の向こう側から学生の笑い声が聞こえてきた。陽の加減からおそらく朝であることを察する。朝から若い学生は元気だな、と思いつつ眠い目を擦る。そういえば今日は友人と遊びに行く約束をしていたはず。昨日は全くと言っていいほどスマホを見ていなかった。友人に連絡しようとスマホを開き、今日の予定について聞いた。すると、すぐに友人から「明後日の事だろ?何か買いたい物があるんじゃなかったのか?」と返信が来た。その返信を見た後少し俺は考えた後に鳥肌がたった。
短編小説 takahiro @dorabure1014
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