マリッジブルー
たとえば
野良猫と遊ぶ貴方を背にして、顰めっ面で式場へ連絡する時
たとえば
式場の打ち合わせに遅れてくる貴方を待ちながら、人の流れを眺めている時
たとえば
式に必要な飾りを私が貴方に打診して生返事のそれを持って1人でレジに並ぶ時
たとえば
結婚指輪の代金を自分のお財布から出した時
たとえば
あなたが野良猫と遊びに行く時に、式場の飾りを1人で作っている時
たとえば
返事のないスマホから音楽を流しながら黙々と会場のカーテンを縫っている時
たとえば
式の話をした後の仏頂面の貴方の顔が、野良猫と遊びに行く話をすると華やぐ時
たとえば
着飾って待ち合わせしても、昔みたいに笑ってくれない時
たとえば
クリスマスのお泊まりのデートで、せがんだキスの3つだけで夜が終わった時
たとえば
野良猫と遊ぶ貴方を横目に、1人で式の打ち合わせに行く時
たとえば
私が体調を崩して心細くて連絡しても、既読もまともにつかないで半日が過ぎた時
たとえば
会場へ向かう道すがら、誓いを立てるその瞬間すら浮き足立つことすら見えない時
たとえば
誓いのキスを唇ではなく口の端と直前に決める姿を隣で見て
それでも傍に居たいのは私の我儘で
世界で1番に幸せな筈の約束を
執り行う私の心は式場の色と同じ紺桔梗
迫り来る音 真雛 @mah1na
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。迫り来る音の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます