迫り来る音

真雛

天秤

真鍮の あのキラキラは

二度と戻って来やしない


初めてのデートのドキドキは

きっと同じ重さだったのに


毎日の言葉のやり取りも

どんどん重さが変わっていって


きっとあなたのおもりはいつもキラキラしてて他の綺麗な天秤に直ぐに移してしまうのね

新しい誰かとの思い出に磨かれてピカピカしてる


私のおもりはと言えばいつのまにか黒ずんで それでも大切で秤の上にどんどん積み上がっていく


いつのまにかあなたの側のおもりは少なくて

今にも私の側の秤皿が地に着きそうで

気がつけば天秤は黒ずんで汚くて

壊れる寸前に見える


秤皿が落ちて 天秤の壊れる音に

背を追われている気がした

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