第2話talk2

『え、またどうして私だけ言われるの…』

「ムカついたら言うたらええねん」

「そんな簡単に言えないって」

「言ったら何て思われるか…怖いよ」

同居人達の声が聞こえてくる。


「腹立つわ。あーもう適当でええやん」

「ほら、やり方とか言い方とかさ…」

「なんか悪い事しちゃったのかもしれないし」

「なんか悪い事したか?正しい事言うただけやん」

「でも、ほら、言い方とかさ」

「目つけられちゃったかも…どうしよう…」

そんな言葉を聞きながら何もなかったかのように私は仕事を続ける。

不安な気持ちや腹立たしい気持ちで心が不安定になりながらも、時間だけが

過ぎて行く。


「大丈夫?普通にしてたら何とかなるよ」

「怖いよね…分かるよ」

「やる事やっといたらええねん。悩むな!お前は悪ない!」

たまに同居人達は私に話かけてくる。

これが今私が色々な、自分の中にある感情と葛藤しているという事なのか?

同居人達の声を聞きながらふと思う。

“本当の私はどこに居るのだろう”と


「ま、色々あったけど何とか無事に終わったな」

「でも、明日から大丈夫かな…また何か言われたりしないかな…」

「とりあえず、あの後は何事もなかったし。大丈夫だよ」

『お疲れ様でした。お先に失礼します』

私はコンビニに立ち寄り家に帰った。


『ただいま』

誰もいない部屋に自分の声だけが響いた。

「さ、ビールビール」

「まずは手を洗って着替えないと」

「今日は疲れたやん。とりあえずはビールやろ」

「ほら、服着替えたら気持ちも解放されるし着替えたほうがいいんじゃない?」

心地よい。

自分の中にある感情なのだから当然だけど、何だかやっぱり心地よい。

ビールを飲みながら今日の反省会が始まるのだろうか…

ソファに腰を下ろし、私はビールを一口飲んでテレビのスイッチを押した。

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不思議で素敵な同居人 大田誠翔 @oota-akito

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