第22話 111,402人って、どんなジャンルに興味があるの?(二次創作:けものフレンズ編)
(注意)本作で出てくるデータは、全て2020年2月21日までに取得されたものです。
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俺――
一面に広がる草原。車が通った後のようなけもの道。
遠くに見えるのは葉があまり茂っていない低木が2、3本と、地平線から稜線が徐々にせり上がり、高くなったり低くなったりを繰り返しながら山頂を形作る山並みだけだ。
「ねぇ、タケル君。本当にあの
俺にそう話しかけてきたのは、
「うーん、はかせに聞いた話だとこの辺が縄張りのはずなんだがな」
そのとき、草の茂みがガサガサっと音を立てて揺れたかと思うと、2つのけもの耳をぴょんっと立てた1匹のフレンズが、勢いよくこちらへ飛び出してきた。
「うみゃみゃみゃみゃー!!」
やや濃い黄色のショートヘアーをした女の子。
おでこよりもやや高い位置には、黒いMの文字が髪の毛の上から刻まれている。白い袖無しブラウスに、黒い斑点の入った髪の毛と同じ色のスカートを履いており、彼女のお尻からはトレードマークとも言える尻尾が伸びていた。
「サーバル!」
「うみゃ?」
名前を聞いた途端、彼女は急ブレーキをかけてその場に立ち止まった。
間違いない。
アニメやマンガ、ゲームなどのメディアミックスで展開されている『けものフレンズ』に出てくる登場人物、サーバルキャットのサーバルちゃんだ。
「わたしの名前をしってるの? すっごーい!」
彼女は元気いっぱいのフレンズ。天真爛漫な笑顔をこちらに向けている。
「はじめまして。わたしはサーバル! あなたたちのおなまえは?」
「俺はタケル。そしてこっちは幼馴染みのケイコだ」
「タケルちゃんに、ケイコちゃん。よろしくね!」
「よろしくね、サーバルちゃん」
「タケルちゃんは、どうしてわたしのなわばりに来たのかなー?」
「うん。実は、いかにカクヨムでけものフレンズの同人小説を書いている人たちが仲良しか、サーバルちゃんに知って欲しいと思ったからなんだ」
「かくよむ? どうじん?」
ケイコが俺の説明を補足する。
「あなたたちフレンズのことを題材にした、面白い物語を作ってる人たちのことよ」
「すっごーい! わたしもペパプみたいにゆうめいってこと?」
「まぁ、そういうことになるな」
「すごいすごーい!」
「さて、ここに1冊の研究ノートを持ってきた。ここにはカクヨムに関する様々なデータが記録してあって、その中には二次創作:けものフレンズの『書き手』がどんなジャンルに興味を持っているかのデータも含まれているんだ」
「これをみただけでフレンズの
「あ、あぁ。そうだよ」
「うわー! すっごーい! きみは
「ということで、結果を見てみようか」
「たのしそー!」
――――――――――――――――
統計情報:二次創作:けものフレンズの『書き手』684人が興味のあるジャンル
○―――――>○
けもの ランキング
――――――――――――――――
1位:二次創作:けものフレンズ
1,497人 (100.00%)
2位:読み専
679人 (45.36%)
3位:異世界ファンタジー
241人 (16.10%)
4位:現代ファンタジー
97人 (6.48%)
5位:SF
77人 (5.14%)
6位:現代ドラマ
77人 (5.14%)
7位:エッセイ・ノンフィクション
64人 (4.28%)
8位:ラブコメ
60人 (4.01%)
9位:詩・童話・その他
52人 (3.47%)
10位:恋愛
51人 (3.41%)
11位:ホラー
27人 (1.80%)
12位:歴史・時代・伝奇
22人 (1.47%)
13位:ミステリー
7人 (0.47%)
14位:創作論・評論
5人 (0.33%)
15位:二次創作:ダブルクロス The 3rd Edition
1人 (0.07%)
16位:二次創作:幼女戦記
1人 (0.07%)
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※Tは順位タイを表す。
「わたし、これがなにをあらわしてるのかさーっぱりだけど、きっとすてきな話だよ!」
「そうだな。これは二次創作:けものフレンズの『書き手』がいかに独自のコミュニティーを築いているかを表している」
「現代ドラマやSFなどのジャンルがファンタジー系に浸食されてたのが嘘のようね……」
「うん。今までならネットワーク外部性の影響で、必ずと言っていいほど自分のジャンルより上位に異世界ファンタジーが来ていた。ところが、二次創作:けものフレンズの場合はその様子が全くと言っていいほど見られない。『書き手』の人数が異世界ファンタジーの14,603人と比較してわずか4%しかいないにも関わらず、だ」
「おお、すくないー!」
「彼ら・彼女達の興味がいかにけものフレンズ1点に集中しているかがよく分かる」
「タケルちゃん、ほんとにいろんなことにきづくよね!」
「次は、二次創作:けものフレンズの『書き手』がどれくらい興味を持たれているかのデータも見せてあげるよ」
「それなに!? たのしそー!」
――――――――――――――――
統計情報:二次創作:けものフレンズの『書き手』684人が興味を持たれているジャンル
○―――――>○
ランキング けもの
――――――――――――――――
1位:二次創作:けものフレンズ
1,497人 (100.00%)
2位:読み専
813人 (54.31%)
3位:異世界ファンタジー
203人 (13.56%)
4位:エッセイ・ノンフィクション
106人 (7.08%)↑
5位:SF
85人 (5.68%)
6位:現代ファンタジー
83人 (5.54%)↓
7位:現代ドラマ
81人 (5.41%)↓
8位:詩・童話・その他
54人 (3.61%)↑
9位:ラブコメ
51人 (3.41%)↓
10位:恋愛
37人 (2.47%)
11位:ホラー
24人 (1.60%)
12位:歴史・時代・伝奇
23人 (1.54%)
13位:ミステリー
11人 (0.73%)
14位:創作論・評論
4人 (0.27%)
15位:二次創作:第2回冲方塾対象作品
1人 (0.07%)↑
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※Tは順位タイを表す。
「二次創作:けものフレンズの『書き手』が他のジャンルに興味を示していないように、他のジャンルからも全く興味を持たれていないことがよく分かるな」
「でも、読み専獲得比率で言えば54.31%と低いものの、813人も獲得してるわね。これはけものフレンズの根強い人気を物語っているわ。創作論・評論の『書き手』が獲得している『読み専』420人の2倍よ? 正直、私もびっくり」
「わたしたちフレンズは、あなたたちのパークでもにんきものなんだね! すっごーい!」
「更に言えば、具体的なデータは出さないけどこの傾向は他の二次創作にも見られるんだ。彼らがいかにその作品を愛しているかが、このようなデータにも表れることはとても興味深い」
「そうなんだ。面白いわね」
「面白いと言えば、実は面白い図も今日は持ってきたんだ」
「ず? ずって、なにかな?」
「オオカミのフレンズがマンガを書いてただろ? あれと似たようなものだ」
「へー! そうなんだー!」
「さて、これがその図だよ――」
https://pbs.twimg.com/media/ES6AiZpU8AAR9Zo?format=jpg&name=large
(ツイート本体:https://twitter.com/t_kusanagi/status/1238068549500973056)
「なにこれー? まるでサンドスターみたい!」
「はははっ! これはカクヨムユーザーの繋がりを示したものだ。以前、『第9話 111,402人の繋がりを可視化するとどうなるの?』で紹介した図に少し手を加えているぞ」
『第9話 111,402人の繋がりを可視化するとどうなるの?』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894358323/episodes/1177354054894433905
「みぎうえにある『二次創作:けものフレンズちほー』ってなにかな?」
「この赤い円の中に、けものフレンズの二次創作を書いてるフレンズ達が集まってなわばりを作ってるんだ。この円の外に、二次創作:けものフレンズの『書き手』はほとんど存在しない」
「すごーい! わたしたちフレンズと同じようにくらしてるのね!」
「そうね。彼ら・彼女達たちは、身も心もフレンズになりきっているのよ」
「フレンズをかいてる『かきて』どうしは、とーってもなかよしなんだね! わたし、『かきて』のフレンズに会いたいな!」
「あぁ、いつでも会えるよ。彼らの心の中でね」
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今日の研究ノートまとめ
――――――――――――――――
・二次創作:けものフレンズの『書き手』の興味はけものフレンズ以外にあり得ない
・『読み専』獲得比率は他のジャンルに比べたら低い (54.31%)
・『書き手』同士の交流が非常に活発
・他の二次創作にも同様の傾向が見られる
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