第21話 111,402人って、どんなジャンルに興味があるの?(創作論・評論編)

(注意)本作で出てくるデータは、全て2020年2月21日までに取得されたものです。


 ――――――――――――――――


 私の名前は草薙 健(タケル)、『カクヨムユーザーの生態』の作者である。


 今回は創作論・評論について検討する。

 作中の登場人物である研究所主任研究員マッドサイエンティスト草薙くさなぎタケルと、その幼馴染みであるとう景子けいこには引っ込んでもらうことにしよう。

 今日は諸君らと熱い議論を戦わせたいと思っている。


 ん? お前の話し方が高圧的で嫌だ?


 すまない。これは性分なんだ。

 このエピソードだけなので勘弁して頂きたい。他のエピソードにおける口調はこのようなものではない。作者である私が保証しよう。


 最初に言っておきたいことがある。

 我々創作論・評論の『書き手』はたった262人しかいない。これは二次創作:けものフレンズの『書き手』684人の実に4割しかいない計算だ。


 なんたる現状。悲惨という言葉以外に思いつく言葉が見当たらない。

 全くもって嘆かわしい。これは一体どういうことなのか?


 これは、ミステリーや歴史・時代・伝奇と同様、参入障壁が高すぎることが原因であると考える。


 まず創作論についてだが、これを書くには。世に出回っている創作論を語った本やインターネットの記事を参考にしてもよいだろうが、読者にはすぐばれるだろう。

 経験というのは、その作品に滲み出るものだ。隠し通せるものでは無い!


 次に評論である。

 これもカクヨムには不向きな題材だ。評論の意味を辞書で引くと、このようになっている。


『[名](スル)物事の価値・善悪・優劣などを批評し論じること。また、その文章。「時局を評論する」「文芸評論」』――(デジタル大辞泉より引用)


 そう、褒めはやすだけが評論では無い。悪いところを指摘するのもまた、評論なのである。

 つまり、ストレスの高い作品が敬遠されがちなカクヨムとは、全くもって相性が悪いのだ。読まれなければ『書き手』のモチベーションは上がらない。従って誰も書かない。簡単なことである。


 さて、長くなった前置きはここまでにしよう。

 創作論・評論の『書き手』がどれくらい他のジャンルに興味を持っているか、また、どれくらい興味をかのデータを連続で示す。


 ――――――――――――――――

 統計情報:創作論・評論の『書き手』262人が興味のあるジャンル

  ○―――――>○

 創・評  ランキング

 ――――――――――――――――

 1位:異世界ファンタジー

   689人 (2296.67%)

 2位:読み専

   596人 (1986.67%)

 3位:現代ドラマ

   328人 (1093.33%)

 4位:現代ファンタジー

   324人 (1080.00%)

 5位:SF

   217人 (723.33%)

 6位:恋愛

   206人 (686.67%)

 7位:詩・童話・その他

   131人 (436.67%)

 8位:ラブコメ

   129人 (430.00%)

 9位:エッセイ・ノンフィクション

   116人 (386.67%)

 10位:ホラー

   56人 (186.67%)

 11位:ミステリー

   51人 (170.00%)

 12位:歴史・時代・伝奇

   34人 (113.33%)

 13位:創作論・評論

   30人 (100.00%)

 14位:二次創作:けものフレンズ

   4人 (13.33%)

 15位T:二次創作:ソード・ワールド2.5

   1人 (3.33%)

 15位T:二次創作:第2回冲方塾対象作品

   1人 (3.33%)

 15位T:二次創作:この素晴らしい世界に祝福を!

   1人 (3.33%)

 15位T:二次創作:ドレッドノート

   1人 (3.33%)

 15位T:二次創作:涼宮ハルヒの憂鬱

   1人 (3.33%)

 ――――――――――――――――

 ※Tは順位タイを表す。


 ――――――――――――――――

 統計情報:創作論・評論の『書き手』262人が興味をジャンル

   ○―――――>○

 ランキング   創・評

 ――――――――――――――――

 1位:異世界ファンタジー

   717人 (2390.00%)

 2位:読み専

   420人 (1400.00%)

 3位:現代ドラマ

   345人 (1150.00%)

 4位:現代ファンタジー

   344人 (1146.67%)

 5位:SF

   255人 (850.00%)

 6位:恋愛

   193人 (643.33%)

 7位:詩・童話・その他

   151人 (503.33%)

 8位:エッセイ・ノンフィクション

   147人 (490.00%)↑

 9位:ラブコメ

   135人 (450.00%)↓

 10位:ミステリー

   61人 (203.33%)↑

 11位:ホラー

   55人 (183.33%)↓

 12位:創作論・評論

   30人 (100.00%)↑

 13位:歴史・時代・伝奇

   29人 (96.67%)↓

 14位:二次創作:けものフレンズ

   5人 (16.67%)

 15位:二次創作:涼宮ハルヒの憂鬱

   2人 (6.67%)↑

 16位T:二次創作:ソード・ワールド2.5

   1人 (3.33%)↓

 16位T:二次創作:ドレッドノート

   1人 (3.33%)↑

 16位T:二次創作:キミラノ

   1人 (3.33%)↑

 16位T:二次創作:ダブルクロス The 3rd Edition

   1人 (3.33%)↑

 ――――――――――――――――

 ※Tは順位タイを表す。


 まず言えるのは、創作論・評論の『書き手』同士の繋がりがあまりにも小さすぎるということだ。262人全員が繋がっていると仮定すると、のべ人数は34,191人となるはずだ(※)。


 それにもかかわらず、データが示すのはたった30人!


 これは、創作論・評論の『書き手』が、他人と群れるのを嫌っている証左では無いだろうか。


 そもそも、創作論・評論の『書き手』は自分の意見こそが絶対と思っているはずで、その信念がなければ評論など書いていられない。

 もちろん、人の意見に耳を傾けることも大事ではある。しかし彼らは、他人とあまり繋がらないことによって、自分の信念を貫きたいという決意を表しているのではと私は考える。


 ジャンル別における一連の分析では、コミュニティー規模に対する比較を行いたいとの動機で、自分のコミュニティーの規模を示すのべ人数に対する他のコミュニティーのそれとの割合でパーセントを示してきた。


 ある程度規模が大きいコミュニティーについては上手くいった。しかし、ミステリー、歴史・時代・伝奇、そして創作論・評論のような小さなコミュニティーについては裏目に出てしまった。


 数字上は、確かに『読み専』獲得比率1400.00%は全ジャンルで最高である。あのラブコメさえ凌いでいる。


 だがどうだろう。


 それがたった420人だとしたら、嬉しいだろうか?


 否、断じて否。


 もっとたくさんの人に自分の意見を聞いてもらいたいと思うのが普通であろう。


 大変遺憾ながら、創作論・評論の『書き手』がどのようなジャンルに興味を持っているか、持たれているかの評価は、このデータによっては不可能であると判断した。


 期待していた読者の皆様には、この事態に対して深く謝罪する。この通りだ。


 なお、意見には個人差があることを私は承知している。ここまで書いた批評は全て草薙 健(タケル)個人の意見だ。通信欄において活発な議論を期待している。


 ……いろいろ書き散らかして、申し訳ない。



 地球滅亡――ユーザー数40万人突破のXデーまで、あと65 日!



「逃げたわね、最後」

「あぁ、自分の発言には責任を持たないとな」



 ――――――――――――――――

 今日の研究ノートまとめ

 ――――――――――――――――

 ・創作論・評論の『書き手』はそもそも数が少ない

 ・その上、同じジャンル同士での繋がりも希薄

 ・『読み専』獲得比率は全ジャンル中トップだが…… (1400.00%)

 ・大変遺憾ながら評価不能

 ――――――――――――――――



(※)のべ人数の最大値の計算について:有向完全グラフを考えることになり、ノードの数を n とするとエッジの数(のべ人数)は n×(n - 1)÷2 で計算できる。つまり、262×261÷2 = 34,191 となる。

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