第513話 百手
化物の相手はしたくない。
逃げられるものなら逃げてしまいたい。
だが、ここで退くわけにはいかないのだ。
俺の背後にはシュトルムガルド王国がある。
第二の祖国といえるほどではなくても、リーヨーン帝国の侵略を許す気にはなれない。
今、俺の身体は「ヤツ」が
普段の「ヤツ」は距離を取っての立ち回りを好む。相手の間合いの外から
だが、高杉にその立ち回りは通じない。“飛梅”があるからだ。どれほど距離を取ろうとも一瞬で間合いをゼロまで詰めてくる。いつもの感覚で戦うのは悪手でしかない。
だから「ヤツ」は高杉に接近戦を挑んでいる。
剣の腕前の差は歴然。不可視の手もある。
「来い、来い来い……来いぃっ!」
その差を手数で埋めるために取った手段は俺もはじめてみるものだった。
地面ではなく、俺の身体の間近に無数の魔法陣を展開。屍者の手だけを部分的に召喚する。召喚された腕の数は100近い。
「ははは! 面白い! けれど千手観音には足りないね……!」
高杉が哄笑した。
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