第508話 召喚

「ひひっ」


 は手元に戻った骨刀を無造作に宙に放り投げた。次いで口の中でむにゃむにゃと呪言葉を圧縮し、脳裏に描いた魔法陣と合わせて出力した。足元に小さな魔法陣を10……20……30以上も展開する。


「来たれ我が下僕しもべ!」


 飛び出すのは白骨、腐乱、死にたてホヤホヤ。なんにせよ死者の群れだ。


「貴様らへの命令は三つじゃ。喰らえ! 食い千切れ!! 貪りつくせ!!!」


 儂の下僕どもは命令に忠実に、一番近くにいた人間つまり高杉に飛び掛かっていった。ちょうど良い頃合いで、宙に放り投げておいた骨刀も振ってくる。それらを制御しちょちょいと加速させてやる。


「――さぁて、どうかの?」


 まさかと言うべきか、流石と言うべきか。

 高杉は無軌道極まる攻撃を凌いでおった。

 やはりこの高杉という男、まともではないのう。

 斬り、躱し、蹴り、そして――


 雷鳴!!


 ――雷撃を駆使して。


「ふうっ、やれやれ。急に人が変わったような攻めをしてくるね、君は」

「字義通り、人が変わったのよ」


 儂がにたり、と嗤うと、高杉もにまりと嗤った。

 儂らどうやら気が合うようじゃな?

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