第448話 時間がない!


 俺は土木工事は専門外なわけだが、幸い道路工事の経験はあった。ムラノヴォルタと俺の宿ホテルとの間の道路舗装。やっておいて良かった。人生何がプラスになるか分からんな。


 それにしても、だ。


「……近づいてみたらうんざりするくらい進んでないな」


 イグナイトが泣きを入れてくるだけはある。資材はあるのに作業が遅々として進んでいないのは本当に士気の問題なのだろうか。甚だ疑問ではあるが、真偽を確かめていられるほど時間に余裕がない。


 やる気の無い連中を働かせるより、やる気とか関係ない連中を統率する方が絶対に早いだろう。となれば俺が採るべき選択肢はひとつしかない。



「……ミラベル、頼む」


 次の瞬間、ガクン、と俺の視界がブレた。

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