第447話 やる気がない!


「どうにかならんか?」


 イグナイトにしては珍しい物言いだった。


「どうにかとおっしゃいますと?」

「陣地構築が間に合わなければ帝国を押しとどめることはできまい」

「仰る通りです」


 この防衛線を抜かれると後ろの王都への侵入を赦すことになる。そうなれば街と王宮が焼かれてしまうだろう。つまり負けだ。


「陣地ができていけば士気も多少は上がるだろう」

「士気が低過ぎて陣地構築が遅れている、という話だったと思うんですが」

「どうにかならんか?」


 卵が先か鶏が先か、みたいな話になってきたな。


「手段は問いませんか?」

「構わん」


 イグナイトは間髪入れず頷いた。相当焦っているらしい。そしてその焦りは正しい。


 後で文句言うなよ、と俺は口にしなかった。絶対文句言われるだろうな、と思っているからだ。


「じゃあまあ、やってみましょうか」

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