第444話 魔剣使いの使い方
「バネッサ、ありがとう。今日はもう自室でゆっくり休んでくれていいよ」
ヴィクトールの指示に従い、バネッサが去っていく。水の魔剣を両手で抱きしめてふらふらとした覚束ない足取りで。その姿を見ていると、さっきまでの狂人と同一人物とは思えない。
「ああ、我が英雄は少し残ってもらえるかい?」
俺は居残りである。結局俺はバネッサを最初の立ち位置から殆ど動かすことができなかった。喉元に刃物を突き付けた時に彼女が自ら動いた以外は。
「さて、どうかな。帝国相手に役に立つと思うかね」
「……単体の戦力としては申し分ない。
「それで、帝国相手に役に立つと思うかね?」
ヴィクトールは同じ質問を繰り返した。
「正直厳しい。手綱のない暴れ馬は組織では邪魔にしかならんだろ」
帝国軍には一対一の果し合いなんて戦術は無さそうであるし。
「ではバネッサの利点欠点を踏まえた上で、彼女の運用を考えてくれ」
「……俺がか?」
「他に誰かいるとでも?」
バネッサほどの戦力を遊ばせておく余裕はないからやるけどな……? 俺は何でも屋じゃあない。無論英雄でもないし戦争屋でもないんだぞ。
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