第430話 FCビジネス概論

 FCビジネスというビジネスモデルがある。


 本部フランチャイザー加盟店フランチャイジーの契約関係で成り立つこのモデルは現代社会(元の世界のだ)においては使い古された、問題の多いシロモノであると言える。


 俺が死ぬ前にも、コンビニエンスストアの店長と本部のいざこざが取り沙汰されたり、スーパーバイザーの怪しげな手口が報道されたりしていた。ニュースになるのはコンビニが多い印象だが、FCというモデルにおける最大の問題点は力関係だと俺は考えている。


 本部は加盟店に看板ブランドや商品、ノウハウ、情報等を提供し、加盟店は代価として手数料を支払う。本部は自前で建物を用意せずに店舗数を増やすことができる。加盟店は有名ブランドの看板とともに膨大なノウハウを利用することができ、ゼロから同じことをするよりも格段にスムーズなスタートが切れる。


 一見Win-Winに見えるビジネスモデルだ。


 実際には、本部指定のキャンペーンだの、ノルマだの、契約に盛り込まれた運営ルールなどで加盟店はがんじがらめにされているケースが少なくない。


 嫌ならやめれば、という気もするが当然そこも抜け目なく本部は逃げ道を塞いでいる。契約満了以外の解約は違約金が発生するのが常だ。


 こうして加盟店は今日も販売手数料を支払う羽目になる。最初から契約書の隅々まで目を通しておけ、という話ではある。


 そういえば俺が死ぬ前、大手ホテルチェーンの奴が加盟店にならないか、とか言ってきたなあ。その場で断ってやったが。

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