第410話 雨雲は人を憂鬱にさせる

 ウェントリアスは俺を祠の裏のちょっとこんもりした丘みたいなところに連れて行った。ここは彼女のお気に入りの場所のひとつだ。適当な岩に腰掛け、横をぺしぺしと叩く。座れということらしい。


 腰を下ろした俺の頬を、ウェントリアスは無遠慮にぐいぐい突いてくる。


「ユーマがそういう顔をしとるのはいかんぞ。即刻改めよ」

「む」

おさ斯様かように辛気臭い調子では他の者も落ち着かぬであろうよ」

「そうだよな」

「うむ。わかればよい」


 にっ、と笑ったウェントリアスは、すぐに表情を引き締めた。


「特別に余が助言を与えてやろう。ほれ、さっさとその辛気臭いツラ原因もとを申すがよい」


 ……助言、ね。

 ひとりで悩んでいても行き詰まるだけ、か。全く異なる視点からの意見が得られるならそれもいいかもしれない。そう思って俺はぽつりぽつりと話しはじめた。

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