第407話 少し似ていて、大きく違う

「ユーマ様」

「うん?」

「弓と変わらないのではありませんか」


 あー、うん。

 イマイチ納得のいってなさそうなアイの疑問に、俺は小さく頷いた。


「射程武器という点では弓と銃は似てるよな。でも違うところもある」


 かなりある。

 射程、軌道が違う。弾速、威力はもっと違う。

 人力と火薬の差は大きい。


「何より必要な訓練の量が決定的に違う」


 俺は弓に詳しくないが、一端いっぱしの弓手になるのにどれくらいの歳月がかかるのだろうか。三年か、五年か。あるいはもっとか。対して銃はとりあえず撃てるようになればそれでいい。


「勿論、命中するあたるに越したことはないけど、一斉射撃で面制圧を行うという前提なら命中率はそれほど重要視されない。たぶん」

「練度の低い者を前線に並べるのは駄目なのでは」

「駄目だなあ。全くよろしくない。――でも、練度の低い子供や年寄りでも人殺しになれる。少なくとも人殺しの片棒を担げる。それが銃の一番ヤバいところだ」


 今のままでは勝ち負け以前の問題だ。

 で、あれば手を打たなければならない。早急に。

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