第364話 うんざりな英雄と妙に前向きな死霊術師
俺は謁見の間を辞すると、がっくりと肩を落とし深く深く溜息を吐いた。
「……なんだって俺が国政に関わらなきゃならんのだ」
(ほれほれ、そう背を丸めて下を見ておっては幸運が近づいてきても気付かぬぞ)
などと「ヤツ」は言ってくれるが、現状はどう控えめに見ても最悪だ。
王都はズタズタ。
帝国の再襲来の可能性。
ついでに皇帝の地位は何者かに簒奪されたらしい。
「……俺にどうしろってんだ」
(期待に応えるのも男の甲斐性というものよ)
俺は男女平等主義だ。
そういった「らしさ」的な奴は大嫌いだ。
だがまあ、背中を丸めていても何の解決にもならないことには同意する。
――まずは帰ろう。
ムラノヴォルタの山の上に。
俺のあるべき場所に。
全てはそれからだ。
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