第343話 勇者は抗い、死霊術師が嗤う
ヴィクトールの下命に、
「――ねます」
ノヴァは小声で応じた。
おいおいやめろ。何言ってるんだお前。
「よく聞こえなかった。なんと言ったかね?」
「いたしかねます、と申しました」
あーあ、明言したよこいつは。
この期に及んでどうして事態をかき回すんだ。
(くっくっく)
お前は呑気に笑ってられていいよな……。
「……どういうつもりかね、赤の勇者」
「忘れることなど、できようはずがありませんので。ヴィクトール殿下」
「……ほう?」
「今宵のエリザ様の言葉も、お姿も、私は忘れることはできません」
(くっくっく)
毅然とした態度のノヴァを見て、「ヤツ」は笑っていた。何がそんなに楽しいのか俺にはわからないが。
ヴィクトールにもノヴァが反発する意味がわからないらしい。
あいつにしては珍しく、表情に戸惑いが浮かんでいた。
「……たとえば、命を落とすことになってもかい?」
「死ねと仰るのですか」
「必要とあらば、それを命じることを厭わないよ」
「左様ですか」
(くっく)
いや笑ってる場合じゃあないだろ。
止めないと。止める? どっちを? どうやって?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます