第303話 対面ショッキング

「エリザ様」

「ノヴァ……」


 ノヴァを目の前にして、エリザヴェートの顔色にようやく変化があった。

 今まで反論していた時の拒絶めいた表情ではなく、焦燥というか悲哀というか、負の感情なのは同じだが、僅かに湿り気を帯びた感情。


 多少の動揺は誘えると思ってはいたが……、コレは何だ?

 どう解釈すべきだ?


「エリザ様、話はあらかじめユーマ殿から聞いておりました」

「……」

「事実、なのですか?」

「…………その、ええと」


 はじめて口ごもるエリザヴェートに「ヤツ」は意地悪くこう言った。


「さっき何と言うた? もう一度言うてみよ、エリザヴェート王女殿下。儂の死者審問インクエストは、なんじゃったかの?」

「……」

「儂は言うたぞ。吐いた唾を飲み込むな、とな」


 煽る「ヤツ」に釣られてエリザヴェートは苦々しげに口を開きかけた。


「でっちあ――」

「エリザ様、いけませんよ。その言葉を仰ってはなりません」


 それをたしなめたのは他の誰でもない、赤の勇者ノヴァだった。

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