第284話 商人の掌中
「お嬢ちゃん、本来なら別料金だが銀貨3枚で弾も付けてあげよう。弾の在庫は5発きりだけどね」
と、ジイさんが言った。
「意味のわかんねえ気持ち悪りい取引きはしねえっつったろ。もう忘れたのかよ
「意味ならある。よく気付いた。その褒美だよ」
気付いた? アタシが? 何に?
――まさか!
「……あの時目線を逸らしたのが、
「フフ」
くっそー。嵌められた!
完っ全にジイさんの掌の上じゃあねえか!
「あー、もう! なんだってそんなことしやがんだ!?」
「試してみたくなったのだよ」
「勝手に試すんじゃあねえよ」
勝ったわけじゃなくて、勝ちを譲られただけじゃねえか。
「そういうわけで銀貨3枚だ」
「やなこった」
断固拒否だ。
「銀貨5枚」
ジイさんは短く告げた。
銀貨5枚。
これでも破格の値付けだ。
くそったれが。もういい。甘やかすんなら甘えてやる。
「……わかった。その額で手打ちだ」
「何故に本来値切られる側の売り手が値段を釣り上げているのだろうね?」
「知らねえよ」
そんなんこっちが聞きたいわ。
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