第272話 商人は未熟者呼ばわりをされる

 露店商のジイサンは地面に広げた布いっぱいに様々な商品を並べていた。

 骨やら乾燥させた草やら、どう見ても呪われてるくさい宝石やら、宝の地図やら。

 どこからどう見ても胡散臭いのだ。


「なあジイさん」


 アタシはその場にしゃがみこみ、にっこりと笑顔で問いただした。


「ちいっとばかし、お高いんじゃないか? こいつの選んだペンダント」

「いやいやいや、逆に値打ちものだぞ。そちらのお嬢ちゃんは見る目がある」

「褒められたデス!?」


 素直に喜ぶリュカを尻目にジイさんは、


「それに引き換えそちらのひよっこは――」


 などとほざいて、深い溜息を吐いてくれのだった。


「は? ひよっこ? 誰がですかぁ?」

「オヌシじゃよ、まだまだ尻についた卵の殻の取れないお嬢ちゃん」

「えっ、クラリッサも獣人だったデス?」

「違う!」


 リュカはちょっと黙ってステイしててくれ。

 アタシの作り笑顔はすっかり鳴りを潜め、ジイさんと視線を交わしていた。

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