第233話 言うは易いが行うは難いと知れ
俺は言った。
「帝国銃兵の装填速度は速い。宮廷魔術師殿の術式詠唱の半分の時間で完了する」
「なっ……!?」
絶句する宮廷魔術師に、俺は更に過酷な現実を突きつける。
「しかも帝国銃兵の射列は二段構えだった。交互に撃ってくる。要するに装填の隙も半減するみたいなものだ。つまり魔術師殿の詠唱の四分の一の頻度で、同程度の射程の、兵に致命傷を与える銃弾が飛んでくる」
「……」
蒼褪める宮廷魔術師。
「もしかしたら三列目の射列もあるかもしれない。帝国軍があの奇襲で手の内を全て晒したとは思えないしな」
鉄砲三段撃ち。ありうる話だ。
「だがまあ、三列目は考えすぎかもしれない。第一射の後の王国騎兵の突撃には第二射と長槍による迎撃で対応していたからな。まあつまり、だ――」
俺は宮廷魔術師に向けていた視線を騎士団長らしき男に向けた。
「――あなたご自慢の騎士は一太刀すら浴びせられずに全滅したわけだ」
「ぐぬぬっ」
とまあ、これが昨日見た俺の現実だ。
どんな顔をしても事実は変わらないし、そもそもこれは俺のせいじゃないぞ。
負けないなんてことを言うのは簡単だが、それをやるのは全く簡単じゃない。
現場の苦労を少しは知れ。
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