第232話 無知の知、とはいかないようで
仕方ないので俺は説明してやることにした。
まずは宮廷魔術師の方に問う。
「魔術師殿は大人の歩幅で200歩くらい先まで届いて、標的に致命傷を与える攻撃魔法を使えるのだろうか?」
こっちの数字の単位は把握していない。
大人の歩幅を約70センチとして210メートル。
昨日見た帝国銃兵の射程は200はなかった。射程外から魔法で叩けるなら一方的な勝負になる。まあ、指揮所を粉砕した砲撃は銃より射程が長そうではあるが……。
「私になら可能ですぞ」
ほう。長射程の魔法はあるのか。
だが今、私にならと言ったのが聞き捨てならない。
「他にその魔法を使える者はいない?」
「高度な魔法なのだ。私以外の使い手はいませんな」
アンタだけしか使えないのかよ。
「その魔法、どれくらいの範囲の敵を巻き込めるんだ?」
「爆炎魔法ですからな、十や二十はなんとでも」
一発で二十人くらい、か。悪くはないが……。
「ちなみにその高度な爆炎魔法は発動までにはどれくらいの時間が必要なんだ?」
「高度な術式ゆえ――」
――
「今の話を総合すると、やっぱり駄目だ。魔法じゃ銃には勝てない」
「なっ!? 何を根拠に……!?」
あの戦場に出ていなければわからんだろうから話してやるとしよう。
現実というやつを。
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