第226話 宵の口、死霊術師の提案を飲むかどうか

(――という策なわけじゃが、如何か?)


本気マジか……」


「ヤツ」の妙案とやらを聞かされ、思わず俺の口をついて出た言葉がそれだった。


本気ほんきも本気。大マジというやつじゃ。ユーマにはこの危地を乗り切る代案があるとでも?)


 無い。

 無いが。


「ヤツ」の、死霊術師ネクロマンサーミラベル・アンクヤードの提案に乗ることは、まず間違いなく今後の俺の、王国での立場を悪くする。


(後の心配をしとる暇は無かろうよ。このままではユーマよ、死ぬぞ)


「ヤツ」は俺の逡巡を見透かしたように言った。


 死。


 死ぬのは御免だ。

 まだ俺はこの世界で満足いく仕事を成し遂げていない。

 元の世界あちらでの負け分を取り返していないのに死んでなどいられない。


「わかった……。やろう。ただし、この戦いが終わったら


(心配するな。儂もそこまで鬼畜ではありはせん)


 今の俺にはこの胡散臭い言葉を信じる以外に方法が無いのだった。


(では、


「ヤツ」が告げた直後、ガクンと俺の視界が揺れ、俺と「ヤツ」は入れ替わった――

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