第144話 魔法使いの修行

 どれくらい遊んでいたでしょうか。

 気が付けば日が昇っていました。

 座って遊んでいる私たちの頭上に影が差します。


「――何をやっているのですか、あなたたちは」

「あ、アイさん。お仕事フロントはいいんですか?」

「私も今日は昼までの勤務ですので。ナターシャさん、お手隙のようですので、折角ですから組手をしましょうか」

「うえっ」

「肯定と判断します。もう少し返事の仕方を勉強しましょうね、ナターシャさん」




 そして冒険者対戦用の闘技場で、私もリュカちゃんもずたぼろに負かされまくったわけですけど、


「アイさん、今日は投げ技ばかりでしたね」

「省エネ運転です――」


 と、答えるアイさんはなんだか少しフラついていました。


「――少々、調子が悪いようですね。私はこれで失礼します。お邪魔しました」


 体調、悪そう?

 アイさんが?


「ちょっ!? 大丈夫です?」

「問題ありません。よい休日を、ナターシャさん」


 訓練中さっきまでとは打って変わって覚束ない足取りでアイさんはホテルに戻っていきました。本当に大丈夫でしょうか……。

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