第61話 山の麓の懲りない面々

 俺が外に出していたテーブルセットを片付け終わると、アイが報告にやってきた。


「支配人、総員配置に就きました」

「リュカはどこにいる?」

「あの獣人は念のためナターシャさんと一緒に客室です。シュラも今は客室に。私の独断ですが」

「それでいい。ありがとう、アイ」

「いえ」


 リュカにはおとなしくしておいてもらおう。


「状況は?」

「監視部隊によりますと、総勢30名ほどの規模で当館へ侵攻中。橋向こうの警戒線で罠を発動し、重傷5、軽傷10、死者無し。重傷者と一部の軽傷者は撤退。残敵20といったところです。諦めずにこちらに向かってきています」


 懲りないやつらだ。

 二度三度失敗すれば学習しそうなものだが。


「迂回してきている敵はいる?」

「おりません、支配人。側背そくはいを突かれる可能性は絶無に等しいかと」


 頭が悪いのか、ゴリ押しで勝つ自信があるのか、何か切札でも隠しているのか。

 どれだろうか。


「こっちの弓兵は?」

「配置済みです。橋の上で蜂の巣にすることが可能です」

「よし。俺が合図するまでは絶対撃たせないように」

「かしこまりました」

「俺は橋の手前まで行く。ついてきてくれ」

「はい、支配人。お任せください。全身全霊でお護りいたします」

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