第38話 いっしょにクマとたたかってもらえますか? 〉Yes/No

 俺は脳内会議を終えると振り返って、ナターシャを呼んだ。


「ナターシャ!」

「はい!」

「作戦は決まった。出るぞ」

「えっ、さっき壁にブツブツ言ってたのって作戦考えてたんですか?」

「お前ももうちょっと言い方に気を遣え」

「お前?」

「いや、いい。気にしなくていいから、よく聞け――」



「――いやいやそんなの無理ですって!」

「クマの動きはこっちで抑えるから。危なくないから。ちょっとだけだから」


 怪しい勧誘みたいになってしまった。

 そしてそれを聞いて死ぬほど嫌そうな顔をするナターシャ。


「その作戦、絶対危ないじゃないですか! あの一撃食らったら私、死んじゃいますって」

「キツそうならやらなくていい。無理強いはしたくないしな」

「……」

「最悪俺ひとりでなんとかするが、ナターシャに手伝ってもらえると集落の被害も減る。たぶんな」

「わ、わかりました……! がんばってみます!」

「よし、じゃあやるぞ」


 俺はナターシャを伴って勢いよく部屋を飛び出した。

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