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「年下のくせに、お蝶って呼ぶな」
「お蝶はお蝶だよ」
山梨先輩の眼差しは、優しい目をしている。好きな女子を見つめる目だ。
「お蝶は幼なじみだし。マネージャーだし」
「たった今、マネージャーは辞めました!」
「サッカー好きなのに、俺のせいで辞めるのか?」
「自分のために辞めたの! 私は一人の女子生徒。もうサッカー部のマネージャーなんかじゃない」
「わかってるよ。男子には見えねぇし」
「ば、ばか。ふざけないで」
「ふざけてないよ。お蝶はずっと女の子だった」
泣きながら怒ってる鈴木先輩の頭を、山梨先輩がポンポンって優しく叩いた。
なんか……
微笑ましい。
心がぽかぽか温まる。
私みたいな落ちこぼれでも、恋のキューピッドになれたかな?
二人の邪魔をしないように、そっとその場を離れた私。
お邪魔虫は退散だ。
夕焼け空を見上げると、優しい風が吹いた。
山梨先輩も鈴木先輩も、夕陽に照らされてオレンジ色に染まっている。
恋っていいな。
創ちゃんに早く会いたいな。
自然と頬が緩み幸せな気持ちになった。
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