81
【礼奈side】
翌日、私はモヤモヤした気持のまま登校する。昨日は創ちゃんもお兄ちゃんも不機嫌で、ラブレターの差出人捜しに躍起になっていた。
学生鞄の中にはブルーの封筒。
私も差出人が誰か知りたくて、学校に持参した。
「おはよう南」
「おはよう、桐生君。あの……ね、桐生君、もしかして私に手紙くれた?」
「手紙? 俺が? どんな手紙?」
この様子では、差出人は桐生君ではなさそうだ。
「何でもない。今のことは忘れて」
「何だよ、気になるだろう。もしかしてラブレターを貰ったとか?」
「ち、ち、違うよ」
どうしてバレたのかな。
ラブレターだなんて、一言も言ってないのに。
「おはよう、南」
後ろから声を掛けられ、振り向くと山梨先輩と一橋先輩だった。
「先輩、おはようございます」
桐生君は私の前に飛び出し、二人の先輩に問い質す。
「山梨先輩、一橋先輩、南にラブレターを出しましたか?」
「きゃあ、桐生君、やめて。先輩、何でもないの。気にしないで下さいね」
山梨先輩と一橋先輩は、互いに顔を見合せた。
「南にラブレター? そんなの出さないよ。一橋、お前が抜けがけしたのか?」
「山梨、お前こそ怪しいな」
二人の先輩は、私の前で何故か口論を始めた。
「桐生君、先輩が私にラブレターを出すわけないよ。だって先輩は私のことなんてこれっぽっちも好きじゃないし。先輩に失礼だよ」
「南、俺はそんなこと言ってないよ」
「へっ?」
山梨先輩の言葉に、私はポカンと口を開けマヌケな声を出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます