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礼奈は俺の表情を察し、左手の薬指からリングを抜き取り、その場で彼に返した。
「やっぱりいい。桐生君ありがとう」
「遠慮しなくていいのに。俺、前から南のこと好きだったんだ」
……っあ?
彼氏である俺の目前で、まさかの告白タイム!?
「なーんてね。南、また明日な」
「なーんてね。バイバイ」
親しげな二人の様子に気分を害した俺は、スタスタとショップから出る。礼奈は俺を小走りに追いかけた。
「待ってよ、創ちゃん」
「あれが欲しかったんだろ。貰えばよかったのに、なーんてね」
大人げないな、俺。
完全にヤキモチじゃん。
「創ちゃんに買って貰うからいいの」
「礼奈の左手の薬指にリングを嵌めるなんて、薬指のハジメテを汚された気分だ」
「薬指の初めてってなに? 人差し指も親指もあるよ。創ちゃんに全部あげる」
なにいってんの。
親指にリングはしないだろ。
「その左手の薬指は俺のだからな」
「全然、意味わかんない。これは礼奈の薬指だよ」
礼奈は俺の目の前で掌を広げグーチョキパーをする。
ジャンケンじゃないんだから。
俺は礼奈の左手を握る。礼奈は嬉しそうにニンマリ笑った。
「アイツさ、さっき俺の目の前で礼奈に告ったよな」
「ジョークだよ、ジョーク。桐生君はバスケ部のエースで、イケメンだし超モテるんだから。礼奈のことを好きになるわけないよ。なーんてねが口癖だし」
「そんなこと、わからないだろ。礼奈は可愛いしスタイルもいいし、クラッとする男子はいるはずだ」
「創ちゃんは礼奈を見て、クラッとする?」
「お、俺はしないよ」
ていうか、礼奈のナイスバディにクラクラしっぱなしだよ。今だって、ブルーのワンピースの胸元だけピッチピチで張り裂けそうだ。
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