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 でも、礼奈と初お泊りだなんて。

 これは、たまらん。


 もうセーブはきかないよ。

 いやダメだ。

 我慢、我慢。


 俺達は夏の誘惑に打ち勝ち、純愛を貫くまで。


 彼女と泊まりがけのキャンプをして我慢しろって、死ねと言われているようなもんだ。


 あああー……。

 やっぱ蛇の生殺しだ。


 俺は浜辺に打ち上げられ、真夏の太陽にギラギラと照りつけられ、干からびたヒトデになる運命なんだ。


 ◇◇


 ―キャンプ当日―


 真夏の太陽は、思春期の男どもをさらにギラつかせる。


 敏樹の彼女は法凛大学一年生の北島美貴きたじまみきちゃん。彼女が運転するワゴン車で、俺達六人は湘南に向かった。


 美貴ちゃんは、栗色のショートヘアで小動物みたいなクリクリした目をしていて、めちゃめちゃ可愛い。


 美女と野獣カップルで、敏樹には勿体ない彼女だ。ガサツで乱暴者の敏樹のどこがいいのか、俺は不思議でしょうがない。


 美貴ちゃんなら、いくらでも男が寄ってくると思うけどな。


 俺の隣には、勿論礼奈が座っている。

 敏樹も礼奈のご機嫌をとるために必死だ。


 礼奈はまだ中学生だからノーメイクだけど、美貴ちゃんに負けず劣らず、メチャメチャ可愛い俺のお姫様なんだから。


 礼奈のファッションはカワイイ向日葵柄の黄色いキャミソールワンピース。夏らしく肩紐はリボンで結んであるだけ。


 あの肩紐のリボンを解いたら、パラッとはだけるのかな。


 礼奈……ブラつけてんの?

 ブラのストラップ見えてないから、まさかのノーブラ?


 い、いけね。

 俺、すでにヤバい。


 ああぁー……バカバカ……。


 よからぬ妄想はストップだ。

 どうせ、叶わぬ夢なんだから。


 良の彼女も年上で大学二年生。小村妃乃こむらひのちゃん。


 さすが、二十歳の女子大生。

 鼻血が吹き出しそうなくらい、超色っぽい。

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