恋の迷路に迷い込んでしまいました。

24

 【礼奈side】


 どう考えても、あの綺麗な人はただの知り合いなんかじゃない、創ちゃんの彼女に決まってる。


 それくらい、中学生の私にだってわかるんだから。


 あの人は大人で、すっごい美人でしかも色っぽくて、私の勝ち目なんかない。


「ふえっ……ふえっ……」


 ベッドに伏せて泣いていたら、急にドアが開いた。ドスンドスンと怪獣の足音が近付き、ベッドの脇でお兄ちゃんが私を心配そうに見下ろしている。


「お前、まだ泣いてるのか? 創のことを殴って悪かったよ。ただ俺は、礼奈のことが心配で心配でたまらないんだ。礼奈はまだ中学生だし、何かあったら……」


「何かって、何よ。お兄ちゃんのせいだからね。お兄ちゃんなんか大嫌い。創ちゃんに嫌われたんだから。もう……許してあげない。絶交だから」


 私はお兄ちゃんに八つ当たりし、ベッドで泣きじゃくる。


「……まじかよ」


 ベッドの脇に突っ立ったまま、あの怖いお兄ちゃんがオタオタしてる。


「もう部屋から出てって。お兄ちゃんの顔なんかみたくないんだから」


 私は泣きながらお兄ちゃんを部屋から追い出した。お兄ちゃんは困り果てた顔で私を見た。


 大好きな創ちゃん。

 小学生の時から、ずっとずっと好きだった。


 創ちゃんはお兄ちゃんの親友で、私の憧れの人。本当のお兄ちゃんよりも、かっこよくて優しいお兄ちゃんだった。


 中学生になって、やっと自分の想いを伝えることができたのに。


 彼女の出現で、私の恋は……あっけなく終わった。


 創ちゃんとは、もう……バイバイだよ。

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