【1】小悪魔なお姫様
礼奈が大人になるまで手は出しません。
2
【創side】
俺の部屋で、初デート。
しかも、家族は不在だ。
男にとって、こんなチャンスを生かさないわけがない。
でもこれは、一般論だ。
俺にとって、彼女と二人きりになるということは……。
素直に「ラッキー」って、喜んでいられない事情がある。
それは……。
俺が俺自身と闘わなければいけないからだ。
「ねぇ、
「うわわ……よせ、礼奈、離れろっつーの!」
「どうして?」
大きな目をクリクリさせて、礼奈は背後から俺を見上げる。色っぽい眼差しに長い睫毛がふわふわと揺れた。
「……ななななんでって、抱きつかれたら困るんだよ」
「だからぁ~どうして困るの?」
「……っ、それはその……どうしても困るんだよっ!」
俺は十八歳の健全な男子なんだよ!
好きな女子に抱きつかれたら、心は理性を保てても体は反応してしまう。
だけど礼奈はそんなことをわかってるんだか、どーなんだか。
やたらと俺にベタベタと抱きつく。
まるで瞬間強力接着剤みたいに、一度くっついたら離れない。
「あのね、創ちゃん我慢すると体に悪いんだよ」
「はぁっ!?」
俺は思わず声を張り上げた。我慢すると体に悪いって、こいつ……意味がわかって言ってるのか?
「ねぇ、創ちゃんと礼奈は付き合ってて、創ちゃんは礼奈のカレシなんだよね?」
「……そうだけど」
俺に抱き着いたまま礼奈が問いかける。
わかりきった質問を、幼稚園児みたいに何度も問いかけ、唇を尖らせ俺の耳に『ふぅ〜』と熱い息を吹きかけた。
「ひ、ひえぇぇぇ……」
お前は小悪魔か。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます