第8話 キジバトの鳴く声
翌日、特に不調はなかったので登校することにした。家を出る前、昨日めちゃくちゃにした手袋を毛糸玉ごと、ごみ箱に捨てた。彼女は一瞬、クリスマスプレゼントの言い訳をどうしようかと考えたが、何か別のもので代用は効くだろうと単純に考えて、ごみ箱の底の方へ押し込んでしまった。外に出ると、顔中がすっと冷えるほどの寒さだった。相変わらず通勤通学をする人々は足早に自分を抜き去っていく。堀の向こうの松の木の方からはそれらしい鳴き声は聞こえなかった。大方寒さでやられたのだろう、いやもしかしたら何か別の場所で、別の声で今も鳴き続けているのかもしれないと、彼女は夢想してみた。
しばらく歩くとまこちゃんの家が見えてきた。家の前にはまこちゃんの他にゆかりちゃんもいるようだ。遠目からでも、彼女ら2人が向かい合って楽しく談笑している様子が手に取るように分かる。ふと、彼女の頭の中でホホウホウと鳴く声が聞こえたような気がした。
キジバトの鳴く声 島 まこ @OsanpoChannel
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