【13-26】カンファレンス 上
【第13章 登場人物】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816700429616993855
【地図】ヴァナヘイム国 (13章修正)
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16817330651819936625
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帝国暦383年11月も中旬にさしかかろうとする時分、帝国東征軍・総司令部はグンボリ城塞を東進すること100キロ――エドラ城塞に入っていた。
その一室では、帝国軍参謀部のカンファレンスが開かれている。
「ヴァナヘイム軍は、このエドラに続いてドリスまで放棄しました」
参謀部(レイス隊)副長・キイルタ=トラフ中尉は、上席に報告していた。
ミュルクヴィズ城塞にストレンド郊外と、相次ぐ惨敗により、敵総司令官は方針を改めたものと思われる。
ヴァ軍の戦線は、イエロヴェリル平原の先まで広がる長大なものになっていた。しかし、主力を相次いで失ったいま、それを維持するのは不可能と悟ったに違いない。
平原各所に散った味方を
「敵はドリス撤退を前に、城下の領民を避難させたようです」
足を組み、頬杖をついて聴いていた先任参謀・セラ=レイス中佐は、最後の一言に
ヴァナヘイム国の城塞都市は、帝国と同じく
そこから領民を逃がしたというわけである。
「ミュルクヴィズの時と同じですね」
参謀・アシイン=ゴウラ少尉がたくましい腕を組む。
敵総司令官のやり方を振り返ると、主戦場となる街からは、極力住民を退避させている。
それは、戦火や略奪から守るなどという甘っちょろい理由ではない。領民を抱えたままでは、その世話に将兵の手を取られ、糧食の消費も増すからだ。
領民を避難させたミュルクヴィズ城塞――ヴァナヘイム軍は、ここで帝国軍を食い止めようと企図したのではなかろうか。
ヴァ軍5,000とはいえ、すべてが戦闘員として城に拠り、守りに専念された場合、数に勝る帝国軍といえども手を焼いたことだろう。騎兵・歩兵主体という従来の戦闘形式であったならば。
結果として、帝国軍が圧倒的な火力を投入することについて知り得なかったヴァ軍は、城ごと破砕された。
だが――。
「今回は違うな……」
参謀たちの見解に、紅髪の先任参謀は異を唱える。
兵馬を籠めたミュルクヴィズとは違い、ヴァナヘイム軍はドリスを引き払っている。抗戦の意思をどころか、敵が不在となればそもそも戦場にすらならないのだ。
それでは、放棄する城塞都市から領民を逃がすとは、どういう了見なのか――。
さすがのレイスも、すぐには答えを導き出せないでいる。
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
ミーミルの策が気になる方、ぜひこちらからフォロー🔖や⭐️評価を押していただき、レイスとともに謎解きに挑みましょう
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レイスたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「カンファレンス 下」お楽しみに。
「牛さんをたくさん飼うのでしょうか?」
蜂蜜色のボブヘアを揺らし、珍しく彼女は真面目な顔をしている。
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