関西弁美少女同級生に友達やめるって言われた

ぴで

関西弁美少女同級生に友達やめるって言われた

「うちアラタと友達やめる、ほなな」


 放課後を告げるチャイムが鳴り止まない間に、同じクラスの三月(ミツキ)に投げやりな言葉を押しつけられた。


 そう言い俺の席を後にする三月の背中を眺めながら、頭が真っ白になっていた。俺何か言ったっけ?何かしたっけ?…いや何も心当たりがない。


 そんな事を考えていると三月がすでに教室を出ていて、追いかけ廊下を歩いているところを呼び止めた。

「ちょっと待てよ、どういう事?」

「どういう事なんもない、あんたとは一緒におられへんって言ってんねん」


 朝も普通に挨拶もしたし昼ご飯だって俺と三月、あとツレ達と喋りながら食べた。五、六時間目も特に何事もなく過ごしていたはずなのになぜこうなったんだ。


「俺らさっきまで普通にいたじゃないか、それとも何か俺に気に食わないとこでもあんの?」


 少し困ったような怒ったような顔をしながらこう答えた。

「私は友達とは思ってない」

「俺は友達と思ってるよ」


「私は思ってないって言ってるねん。……なんや」

「え?声が小さくて聞こえないんだけど?」

 こっちも急に絶交宣言されたことに少し腹が立ち、強めに言ってしまった。


「あんたのことが好きなんやって言ったんやアホ!」



……は?



俺はこれまた思ってもいなかった返事が来たので、また少し頭がショートしてしまったが、三月は言葉を続けた。


「好きって言ってフラれたらあんたとは友達ではおられへんやろ、だからうちはこっちから友達やめたろ思ったんや!」

 そう言いながら少し涙ぐむ三月。あのいつもクラスのムードメーカーで楽しくさせてくれるこいつがまさかそんな事を思っていたとは。


「…そういう事やからほなな」

「待てよ」

 帰ろうとする三月の腕をつかみ俺はこう答えた。


「じゃあ俺もお前と友達やめる」

「…どう言う事?」


 軽く深呼吸し、恥ずかしい気持ちをおさえながら三月に言った。

「俺の彼女になってくれ」


 さっきまで複雑そうな表情をしていた三月の顔が一気に真っ赤になった。

「アホちゃうかこいつ、急に何言ってんねん!」

「俺だってバカみたいな事言ったって思ってるよ。…お前っぽく言うなら俺も前からお前のこと友達って思ってなかったんだ」


 通りすぎる同級生達がいるのに俺らは熱くなり、全く気にしていなかった。


「アラタ、それってほんまなん?」

「言っておくがお前が思っている以上に俺はお前のことが好きだったんだわ」


 腕を掴んだまま静かに続く沈黙。少しして三月が口を開いた。


「うちでええの?」

「三月だからいいんだよ」


 涙をこぼしながら三月が俺の顔をにらみつけこう言った。

「それやったら先にそう言え!うちめっちゃ恥かいたやんけ!」

「お前が急におかしくなったのがそもそも悪いんだろ!」


 俺らは一応付き合ったことになったはずだが、こんな始まりでよかったのかと少々疑問に思いつつも、これはこれで良かったと思…う。ちなみにこの後思い切りビンタされ、やっとの事で三月は落ち着き、この友達やめるって言われた事件は終わった。

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