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 物語はありふれた、何気ないところから始まった。


 事前予告も、告知もなく、ひとりが動き出したことで、この物語は作られた。


 役者達は、それぞれが結末も知らないまま、舞台の幕は上がってしまう。


 しかし、役者たちはそれぞれの物語のレールに沿って、話を進めていく。


 時には止まり、時には折り返し、時には一度舞台から消えた。


 それでも、物語は結末へと進んでいった。


 各々が目標を持ち、互いに支えながら前へと進んでいくーーーーー




 ある役者は、唯一の家族に褒めて貰いたくて、自分の台本以上の役をこなして倒れた。


 ある役者は、過去に脅え、来ることの無い現実から目を背け、舞台から降りた。


 ある役者は、過去の苦い経験から、大切な人に頼ることが出来ず、傷ついていった。


 ある役者は、支えられながらも役者を引っ張り、前へと進む手伝いをした。



 誰が欠けても、この物語は成立しない。


 全てがこの物語を動かす大事な歯車であり、欠かすことのない大事なもの。


 だからこそ、ここまで進むことができた。



 あと一歩踏み出せば物語は完結してしまうところまで。





 たくさんの役者が役目を終え、舞台から降りた。




 残る役者は4人。




 応えを待つ者ものと、応えを出すもの。




 全ては、応えを出せば終わってしまう。




 些細なきっかけから始まったこの物語。


 始めは薄い台本から始まったはずなのに、今となっては分厚いものとなってしまった。


 それでも、辿り着く結末は同じ。



『彼氏を作る』『彼女を作る』



 この物語が結末に向かえば、必ず報われる者と報われない者が出てしまう。


 現実とは非情で、全員が報われる結末なんて存在しない。





 それでも、役者達は結末を求めた。


 傷ついてもいいから、選ばれなくてもいいから、この物語を終わらせて欲しい。




 この想いを、知って欲しい。




 望んだ結果よりも、終わらせることを選んだ。




 ならば、舞台は大人しく幕を下ろそう。


 役者の悔いのない結末にしよう。





 観客が望んだ結末にはならないのかもしれない。



 激しいブーイングが、会場に巻き起こるかもしれない。



 それでも、主人公は応えを決めた。


 己の悔いがないように、彼女達と向き合うために。


 己が幕を下ろすと、そう決めた。










 ーーーーーさぁ 、






 観客の皆様よ、後は暖かく役者の行く末を見守ろうじゃないか。




 役者達の物語は、もうじき幕を下ろす。





 どんな結末を迎えても、きっと後悔はないだろう。



































































 物語の終わりまで


 後2日

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