質問の意味がよく分かりません
なんだかんだ今日の授業も終わり、放課後恒例の生徒会のお仕事。
この仕事は定期的に休みが貰えるといっても週に1回。
……俺、社会人になるにはまだ早いと思うんだけどなぁ?
そんなことを思いながらパソコンをカタカタ。
ふぅ……だいぶこの仕事にも馴れてきた気がするな。
「ねぇねぇ、望くん」
俺がパソコンに文字を打っていると、横から麻耶ねぇが声をかけてきた。
そして、ただ声をかけてくるだけなのに、この腕に伝わるやわらかい感触。
どうして、麻耶ねぇは普通に声がかけれないのでしょうか?
我が姉ながら俺の息子を元気にさせる気満々なのかね?
「なんだい麻耶さんや?とりあえず離れてはくれまいか?」
「え?離れてもいいの?」
「いや……離れても」
「離れていいの?」
「……そのままでお願いします」
くそぅ!誘惑に負けてしまったよぅ!うぇーん!
だってしょうがないじゃん!やわらかいんだよ!?大きいんだよ!?ばいんばいんなんだよ!?
確かに思春期男子には刺激が強いけど、嬉しいものは嬉しいんだもん!
そんなの離れてって言えないよね!?
「ダメに決まっているでしょう?」
「ぶべらっ!?」
俺がばいんばいんを堪能しようとしていると、横から西条院の投げたファイルが頭にクリーンヒット。
望は30のダメージをくらってしまった。
……お嬢さん?ファイルは投げちゃいけませんことよ?
「はぁ……いいから離れてあげてください鷺森さん」
「は~い!」
西条院が注意すると、麻耶ねぇは大人しく離れてくれた。
何だろうこの嬉しいような悲しいような気持ち?
もうちょっと堪能したかったというか……。
「で、麻耶ねぇは何の用だったんだ?」
「うん、望くんに聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
どうしたんだろうか?
好きな女性のタイプを聞きたいのだろうか?
でも~、ちょっとそれは恥ずかしいし~、男心的に?もうちょっと仲良くなってから?教えてあげたい的な?
「アメとムチどっちが好き?」
「……ふぁ?」
予想とは斜め上どころか完全暴投の質問に、俺は思わず変な声が出てしまった。
え?アメとムチってなに?
ビスマルクですか?俺の事を懐柔すんの?
普通に怖いんだけど?麻耶ねぇ普通に怖いんだけど?
……でも、どっち答えよう?
アメの方がもちろんいいのはいいのだが、ムチもたまには捨て難いーーーーーー言っとくけど、俺Mじゃないからね?
「………アメで」
「おっけー♪」
俺は少し悩んで、無難なアメを選択した。
……いや、ここでムチって言ったら俺変態さんみたいになっちゃうから。
読者のみなさんはムチの方が好きなのかもしれないけど、俺は生憎変態さんにはなりたくない。
「……今年はホワイトチョコにしよ♪」
そして、俺の回答を聞いた麻耶ねぇが何やらブツブツ言っている。
何?今度アメくれるの?ご褒美くれるの?
「……なるほど、そうやって時森くんのチョコの好みを聞けばいいんだね」
すると、後ろで棚の整理をしていた神楽坂までもが小さく呟いていた。
神楽坂も俺にご褒美くれるの?嬉しいなぁ~!楽しみだなぁ~!
「と、時森くん!」
「ん?どうした神楽坂?」
そして、神楽坂が俺の近くまでやってきて声をかけてきた。
「時森くんは……その……大きいのと小さいの……どっちが好き?」
「……は?」
またもや、俺は投げかけられた質問に変な声が出てしまう。
え、待って?何で神楽坂はこんな質問を上目遣いでするの?
ドキッとするけど、主語が抜けているから俺分かんないよ?
……でも、待てよ?
この前、お風呂から上がってリビングに戻った時に、神楽坂が自分の胸を触って「やっぱり大きい方がいいのかな?」って言っていたことがあった。
俺はその時、思わず鼻血を出してしまったがーーーーーもしかしたらこの事を言っているのかもしれない。
いや、だがしかし。
どうしてこのタイミングで聞くのか分からない!
ここにはエベレスト級の麻耶ねぇと砂山級の西条院がいるんだぞ!?
もちろん大きい方が好きなのだが……そんなことを言ったら、意味も分からず西条院に殺されてしまう恐れがある。
しかし、答えないのも不自然……。
俺は一体どうしたらッ!
「……だ」
「だ?」
「……大事なのは大きさじゃないと思う、ぞ?」
そして、俺が導き出した答えは無難な当たり障りのない答え。
本当は……大きい方と答えたかったのだが……!
さっきから少ししゅんとしている西条院を見たら……殺される!というより、言いたくないという気持ちが勝ってしまったのだ。
……ごめん!情けない俺を許してくれ全国のばいんばいん好きの男子達!
「……そっか、大きさじゃなくて気持ちなんだね」
「……そうですか、胸が小さくても大丈夫ですか」
そして、俺の答えを聞いた2人はそれぞれ嬉しそうに呟いた。
……本当に、なんでこんな質問したのかね?
俺、質問に答えるだけで疲れちゃったよ。
♦♦♦
生徒会の仕事も終わり、それぞれ帰る支度をする。
……しかし何故だろう?今日はやけに疲れた気がする。
「じゃあ、お疲れ様」
「お疲れ様です、先輩」
そう言って、先に先輩が生徒会室から帰ってしまった。
「俺らも帰るか」
「うん!」
「おっけ~!」
そう言って、俺達は再び帰る支度をする。
すると、ピロリン♪という音がポケットにあるスマホから聞こえた。
「……誰だよ?」
俺はスマホの画面を開くと、西条院からメッセージが届いていた。
……近いじゃん!
お前すぐそこにいるのに、どうしてラオンなんだよ!?
と言っても仕方がない。
とりあえずは内容を見ようではありませんか。
『明日の放課後は予定はありますか?』
……明日は、確か生徒会がない日だったな。
『神楽坂の飯を作るくらいだな』
俺はすぐにそう返した。
すると、1秒後ぐらいにまたピロリン♪と携帯が鳴った。
……打つの早くね?
本当に最近の女子高生って打つの早いよね。
『では、明日一緒にお食事でもいかがですか?お父様がこの前のお礼をしたいと言っているので』
……ふむ。
別に行っても構わんのだが……神楽坂どうしようかな?
1人で残すのは危なくて心配だし、ご飯ちゃんと食べれるか心配だしーーーーーーーまぁ、麻耶ねぇの家にお泊まりしてもらえば大丈夫かな。
……やばい、俺っていつの間にここまで神楽坂のことを心配する親みたいになっちゃったんだろう?
それに、今思えば西条院の父さんにはあの時は迷惑かけたと思っているし、ちゃんと謝っておきたい。
……折角予定が空いたんだ。
どうせだったらお呼ばれしよう。
『いいぞ』
『分かりました。では明日楽しみにしています』
……ふぅ。
俺は返事を返し終えると、携帯をポケットにしまう。
とりあえず、帰りに菓子折でも買っていくか。
でも、あの親父に菓子折りなんて必要か?
いや、でもそれはさすがに失礼かな?
そんなことを思いながら、俺は帰る支度を進めた。
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