第一回、ミスコン開催!
「第一回桜ヶ丘学園ミスコンテスト、ここに開催致します!」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」
そして迎えた桜学祭最終日。
俺は昨日と同じで、午前中に我がメイド喫茶で必死に働き、無事に午後の休憩をとる事ができた。
しかし、俺は最終日は桜学祭は回らず、我が有志によるステージイベント――――『桜ヶ丘ミスコンテスト』を開催していた。
……だって、やってみたかったんだもん!
みんな、誰が一番可愛いか気にならない?
この学園には三大美少女と言われている麻耶ねぇと西条院、神楽坂がいるが、他にも三人に負けることのない美少女がいると思う。
だって、この学園はマンモス校なだけあって生徒数も千は超えている。
果たして、その中で一番可愛いのは誰なのか?
そして、もしかしたら俺が知らないだけの美少女が見つかるかもしれない!
そういう期待と、誰が一番可愛いのかという疑問を抱きながら、俺はこのミスコンを開催したんだ。
現在、会場は観客で一杯に埋め尽くされており、校舎からステージを覗く生徒まで見受けられた。
まさか、これほどまでに皆『誰がいちばん可愛いのか』が気になっていたとは!
俺は少し驚くのと同時に、同じ気持ちを持っている同士がいた事に嬉しく思った。
「というわけで私、生徒会の会計時森望がこの度司会を務めさせていただきます! そして、解説には生徒会副会長の結城陽介さんをお呼びしております!」
「みんな、よろしくお願いするよ」
「「「きゃーーーーーー!!!」」」
先輩が、ステージ端の席から手を振って挨拶すると、観客席から黄色い歓声が聞こえてくる。
……アイドルみたいで羨ましいっす。
だが、俺は司会……唇を噛み締めながらも、イベントを進める。
「ルールは至って簡単! これから「我こそは!」という少女達がステージで各々アピールしていきます。そこで、それを見た観客の皆さんからの投票によって、桜ヶ丘学園のNo.1のミスコンを決めていくというものになります!」
「分かりやすくシンプルでいいね」
「ありがとうございます」
俺はマイクを持って、ステージ全体に聞こえるようにルールを説明する。
もちろん、先輩のところにもしっかりマイクはあるので、この会話は全て聞こえるようになっている。準備諸共バッチリだ!
「さて、皆さんも待たせていることですし早速始めたいと思うのですが────先輩は今回注目している人はいますか?」
「そうだね……やはり学園三大美少女が優勝候補となりそうだね。そのうち誰が優勝するのか―――俺としては気になるかな」
「なるほど……確かに、あの三人の中で誰が一番なのかは気になるとこではあります」
俺は先輩と一緒にステージ端の席に座り、観客席が退屈にならないように今後の展開を雑談を交えながら進めていく。
「というわけで、エントリーNo.1、陸上部から南 奏さんです!」
俺が大声で高らかに呼ぶと、ステージの袖から陸上部のユニフォーム着た活発そうな美人の先輩が現れる。
「南 奏です! よろしくお願いします!」
「いやぁ〜、お綺麗な人が参加してくれて嬉しいですよ!」
「あ、ありがとう……」
俺が喜びを口にすると、先輩は照れた様子で少し俯いた。
いや、本当に綺麗ですよ……ユニフォームから覗く美脚がもう本当に素晴らしい!
あれなんですよ、うちの陸上部は半袖短パンなんです!
彼女の整っている顔はもちろんのこと、陸上で鍛えられた程よい筋肉が素晴らしい美脚を生み出しており、それが彼女の魅力をより一層引き立たせていた。
「本日はどうして参加してくれたのですか?」
「友達に出てみないかって言われて……」
「なるほど……会場にいるかもしれないお友達さん、ありがとう!」
俺がステージに向かってお礼を言うと、ステージからどっと笑い声が聞こえてきた。
いや、本当に連れてきてくれてありがとう!
だってこんな間近で素晴らしい美脚が見れるんだから!
「まぁ、それは置いといて――――それではアピールをお願いいたします!」
俺がマイクを渡すと、先輩は少し緊張気味にステージに向かって大声で話す。
「え、えーっと、二年五組の南 奏です! 陸上部に所属していて、特技は走ることと、趣味は料理です! こういう場に出ることが初めてで、緊張してますけどよろしくお願いします!」
ちょっと早口で話し終えると、南さんは勢いよくお辞儀をした。
「ありがとうございます。では早速ですが解説の先輩、いかがでしたか?」
「そうだね、明るそうな雰囲気とは裏腹にうぶな姿も見れてとても好印象だね。更に、男心をくすぐるあのユニフォームを着てきたことは素晴らしいとしか言いようがない。まだ序盤だから分からないが、彼女はきっと多くの票をもらうことだろう」
俺が先輩に向かってそう質問すると、先輩は先程までの光景を振り返り真面目な顔で解説してくれた。
真面目に女子を評価するってちょっと気持ち悪いよね! でも俺は好き!
「まさしく俺もそう思います! ――――というわけで、エントリーNo.1の南 奏さんでした! ありがとうございます!」
南さんはぺこりと再びお辞儀をすると、ステージの袖へと戻って行く。
今回のミスコンは概ねこのような形で進んでいくのだ。
「サイコーだったよ! 奏ちゃん!」
「エロい! 適度にエロい!」
「俺の彼女になってくれ!」
すると、会場から溢れんばかりの歓声が上がる。
ちょくちょく願望やら変な声が聞こえてくるが、そこは盛り上がってくれたので良しとしよう。
そして俺は、思った以上にハイクラスの女子生徒が参加してくれたことに少し驚いた。
……おかしいな? そんなに力を入れて参加者を募っていなかったんだけどな?
――――いや、きっと先輩がハイクラス女子に声をかけてくれたんだろう。
俺はちらりと先輩のほうを向く。
そこでは、とても満足そうに頷いている先輩の姿があった。
……やっぱり先輩だな、うん。
俺は自分の中でそう結論を出した。
これは俺にとってもいい話だし、さして気にする必要もないからね。
「さぁ、張り切って次の方どうぞ!」
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