第4話 そして、帰郷へ

 立候補の話を聞いてからは、心も穏やかでなく、さざ波は大きな気持ちのうねりとなっていった。

「故郷の将来のために、自分に何ができるだろうか」と考えた。今までは、自分のためだけに生きてきた。これからの人生、精一杯、人のために働くのもいいではないか。たとえわずかでも、何かしらの役に立てるのではないか。自分を認めてくれる人がいるなら、その気持ちに応えてみたいと思うようになった。

 一ヶ月後、返事は決まっていた。十月の終わり、引越しの荷物をまとめ、帰郷した。

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