第3話「なんか楽しい事を思い出したい」

 「母が一時期お弁当を作っていた、父と妹と弟と私の分だ」

私はいつも同じ様なものばかりのそのお弁当が好きだった。


「大抵は冷凍のエビフライや鳥の唐揚げばかりの揚げ物弁当だったが、たまに中に少し大きめの玉ねぎミンチの牛肉(細かく切ってた牛肉?あと人参入ってた?)がいっぱい入ったちっちゃいオムレツがあってそれはとても美味しかった」

そう言えばお弁当と言えばお花見でも学校行事でもいつも揚げ物とのりを巻いた俵のおむすびばかりのだったのに(普通の玉子焼きは入ってたかな?)。


「今思えば、あのオムレツは母にとって新たな挑戦だったのかも知れない」

そう思うと私の口はニンマリとする。


「美味しい筈だよね」

いつも仕事におわれていた母がわざわざ作ってお弁当に容れたのだ、自信作だったに違い無かった。

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思い出はフィクションのように。 山岡咲美 @sakumi

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