貴方がそうなら私はこう
斧間徒平
貴方がそうなら私はこう
彼は私の幼なじみ。幼稚園の頃から一緒にいる。家が隣、クラスも一緒。兄弟よりも仲が良い。
彼はちょっと抜けている。宿題をよく忘れるし、携帯の画面はいつも割れている。
私は彼のことが好き。
だけど、彼が私に振り向いてくれたことは一度もない。永遠に離れず、永遠に近づけない。まるで私は彼の衛星。
彼は残酷にも私にアドバイスを求める。私以外の女と上手くいくためのアドバイスを、私に求める。
「どうやって誘おう」
「何をプレゼントしよう」
「どこにデートに行こう」
その質問の一つ一つが私に刺さる。
「誘われない」私、「プレゼントされない」私、「デートに行けない」私が悲鳴を上げる。
だから毎回、せめてもの抵抗をする。彼が幸せになれるように。彼があの女に振られて、私と結ばれて幸せになれるように。
今日も彼はアドバイスを求めて、無邪気に私のところにやって来た。今度の女はマッチングアプリで知り合った女。
メールをして、映画の趣味が合ったことを嬉しそうに話す彼。今度、初めて会うらしい。羨ましい女。私は彼と待ち合わせしたこともないのに。
「どうやって待ち合わせすればいい?」
「こう伝えればいいよ。『コンタクトレンズつけて待ってます』って」
貴方がそうなら私はこう 斧間徒平 @onoma_tohei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます