第3話 繋がる2人

夕方になり2人は彼女の家にいた。

どことなくぎこちない雰囲気ふんいきただよっていた。


それもそのはずである。 お互い就活で忙しくまともに会う機会なんてなかったのだから。


久しぶりだね

と挨拶してから沈黙が続いてしまっている。

お互い何から話していいのかわからないのだ。


沈黙を破ったのは彼女だった。

就職はお互いどこになったのか、どこに配属になるのか等の話をしていた。


意を決したのか彼が話の途中に少しいいか、と話を中断させた。

彼女はそれを察したのかビクッとし、より一層緊張感が増した。



彼女が落ち着くのを確認し、彼は話し始めた。


小学生の頃から実はずっと彼女が好きだったこと、

その当時はその事を自覚してなかったこと、

中学と高校で付き合ってた子達は告白されたからOKしたということ、それでも度々彼女を気にしていたこと、

その事を話して毎回フラれていたこと、

そして今更になって彼女を好きだと自覚したこと。

全て話した。


それにつられて彼女も話した。


小学生の頃からずっと彼が好きだったこと、

毎年チョコを作っていたこと、それでも勇気が出なかったこと、中学高校そして大学とずっと彼のことを見ていたこと、

そして諦めずにずっと彼のことが好きだということ。

彼女も話した。


そして彼女は彼に今年のチョコレートを渡した。

16年越しの彼女の初めてのバレンタインチョコを16年分の手紙を添えて彼に渡した。


お互いに両想いだと分かり気持ちがたかぶったのか、気がついたら抱き合っていた。

何秒も何分も泣きながら抱き合っていた。


2人が落ち着くと、これからについて話し始めた。


今から付き合うという考えはもちろんあったが

2人とも地元を離れてしまうこともあり、遠距離恋愛を考えたが中途半端になりかねないと、付き合うことにはならなかった。


2人で出した結論は、

『 しばらくは距離をおこう』ということだった。



そしてこう付け加えた。





『5年後にまたこの場所で再開しよう

そして2人で結婚しよう 』



彼と彼女は16年間もすれ違っていたのにも関わらずお互いにずっと想い続けていたのだ。

5年くらいの壁くらい乗り越えられるだろう。



2人に幸あれ。

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届かぬ君へ こばや @588skb

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