第32話 頼もしい理解者達

「では、お先に失礼します」

「お疲れ様、新城先生。明日もよろしくね」


 定時と同時に、碧は職員室を出た。他の教諭達は、翌日の授業の準備や、新しく受け持ったクラスの問題事などに頭を悩ましている。碧は彼らから児童達についての相談事を受けることも多々あり、それもまた養護教諭にとって大切な務めであった。週に二日、学校を訪問してくれるスクールカウンセラーと協力して、児童の心のケアを行なっている。


「あっ、碧先生。今帰るところなの?」

「はい、岸本先生。お疲れ様です」


 廊下に出てすぐに、碧は女教諭と鉢合わせした。女教諭は茶色がかった髪をボブカットに切りそろえ、ふんわりとした笑みを浮かべている。華奢な体躯と合わせると、見る者に言いようのない庇護欲を沸き立たせるが、これでも歴とした碧の先輩教諭である。


 彼女、「岸本」瑞希とは数多い同僚教諭達の中でも、特に親しくさせてもらう仲だ。まさか同じ職場で働くことになるとは、碧もまるで予想していなかった。碧の実家がある長野県と、ここ三重県伊勢市は遠く離れている。瑞希と二度と会うことはないだろう、と考えていたのだ。


 瑞希は夫の仕事の都合で、出産後すぐにこちらへと引っ越してきたのだという。一〇年前の一件もあり、新人教諭として赴任したばかりのころの碧は、彼女と顔を合わせるのも緊張していた。だが、当の先輩教諭の瑞希は相変わらずの優しい笑みを浮かべ、新しい同僚を受け入れてくれたのであった。

 苗字が「渡会」ではなく、旧姓に戻っていることについては、本人にとって忌々しくも悲しい事情がある。


「そういえば、丸山先生をはじめとした女性陣が、これから合コンだと張り切っていましたけど。岸本先生はメンバーに入っていないんですか?」

「ああ、それ? お誘いは受けたけど、私はお断りしたの。私みたいなオバさんが一緒に行っても、相手の男性陣が嫌がるでしょうし。それに、もう男の人と付き合うとか、そういうのは当分、懲り懲り」


 瑞希がげんなりした顔で言う原因は、一年前にまで遡る。瑞希の話によれば、彼女が娘と共に子供向けの映画を見に出かけている間に、夫が愛人を自宅へ連れ込んでいたのだという。二人が夫婦の寝室で激しく睦み合っているところへ、何も知らない瑞希と娘が帰宅し、現場に遭遇した。自分と夫の夫婦仲を信じ切っていた瑞希は激怒。問い詰めてみると、夫が女遊びに手を染めたのは新婚当初。瑞希が妊娠中のときも、今回とはまた別の女性と密会をしていたらしい。こうした一件が原因で、夫婦関係は急激に悪化。離婚と相成ったのである。当時の碧は、碧の自宅で瑞希のヤケ酒に散々付き合わされたものだ。その度に、瑞希の娘も揃って泊まり込みに来ていた。


「ふふっ、なるほど。では、お先に失礼しますね」

「うん。お疲れ様。翡翠ちゃんによろしく」


 碧は瑞希に会釈し、職員用玄関を出る。玄関口から見渡せる運動場は、昼間の賑やかさが嘘のように、夕闇の静けさで覆われていた。


 ふと、碧は大学時代のことを思い返す。


 瑞希の妹、岸本鈴鹿とは結局、あれからずっと疎遠のままだ。瑞希の話によれば、現在は関東にある有名私立小学校に勤務しており、三年前に職場の同僚教諭と結婚したらしい。


 碧は職員用の駐車場にとめられたハッチバック型の車に乗り込み、エンジンをかけた。中古とはいえ、無理をして購入したこの車にも、すっかり愛着がある。辺りに人気はないが、放課後の子ども達が駐車場周辺で遊んでいないか、念入りに確認しながらゆっくりと車を発進させていく。


「さて、と。翡翠はいい子で待ってくれているかな」


 子どもの成長は早いもので、翡翠は今月で小学四年生になった。

 碧は大学の卒業間近に実家を出て、翡翠と二人で暮らしている。伊勢市の公立小学校で養護教諭として勤務しており、忙しくも穏やかな日々を歩んでいた。一〇年前のように、マスコミに追われることはない。世間の人々は、碧と翡翠の存在をすっかり過去のものとして興味を失っていた。


 碧達が住むマンションは、小学校から車で五分ほど走らせた先にある。『フルール』というこの建物の名は、フランス語で「花」を意味するのだそうだ。地上五階建てで、赤茶色の壁が落ち着いた雰囲気を醸し出していた。碧はマンション裏にある駐車場に車を止め、降りる。マンション正面の入り口の扉へ向かおうとした、そのとき。


「……まただ」


 背中に無数の蜘蛛が這いずり回るような視線を感じ、碧は顔をしかめる。この薄気味悪い感覚については、一昨日から出勤と帰宅の際に味わっていた。だが辺りを見渡しても、視線の主らしき存在を見つけ出すことはできない。最初はただの勘違いだと思っていたのだが、こうも続くとさすがに不愉快だし、得体の知れない恐怖感もあった。


 もしかして、変質者の類に狙われているのだろうか。

 気味が悪くなった碧は、逃げるように建物の中に入り、一階のすぐ手前にある部屋のインターフォンを押す。


『はい、どなた?』

「新城です」

『おや、あんたか。今帰ってきたところかい。入りな。ドアに鍵はかかっていないからさ』


 女性の些か錆びつきかけた声に従い、碧は部屋のドアを開けた。玄関には女物の靴と、子ども用の靴が一足ずつ並んでいる。碧は革靴を脱いで、玄関の端に置いた。


 短い廊下を抜け、居間のドアを開ける。広々とした部屋の中央では、車椅子に乗った少女が白い布らしきものと睨み合っていた。昼間、保健室にもやってきた元気な児童だ。


 碧にとって、何よりも大切な愛娘である。


「あ、お父さん。お帰りなさいっ!」


 少女、新城翡翠は碧の存在に気づくと、途端に眉根を寄せていた幼顔を輝かせた。その小さな手の指には、いくつもの絆創膏が貼られている。


「見て見て、紗子オバさんにお裁縫を教えてもらったんだよ!」


 翡翠は自慢げに小鼻を膨らませ、持っていた布きれを碧に向かって掲げて見せる。布きれには何本もの糸が縫われているが、縫い目がどれもバラバラだった。


「ふふ、頑張ったね。絆創膏が努力の証だ」

「あ、こ、こ、これは違うの! ちょっと失敗しただけ!」


 碧が指摘すると、翡翠は頬を赤らめて両手を背中に隠す。その慌てる様が可愛らしく、思わず碧の口角が緩んだ。翡翠の豊かな黒髪を優しく撫でてやる。


「偉い偉い」

「んっ」


 子猫が喉を鳴らすような表情を浮かべ、翡翠はされるがままだ。碧はそのまま抱き締めたい衝動に駆られるが、ぐっと我慢する。娘の頭からそっと手を離し、居間のソファに腰かけた初老の女性に向き直った。


「三橋さん、ありがとうございます」

「いや、あたしはちょっとやり方を教えてあげただけだよ。あとは、この子が頑張っただけのことさね」


 女性は、円らな目を細めて笑う。白髪が入り混じった髪を後ろでまとめ、薄桃色のカーディガンを羽織ったその姿は、どこにでもいる普通の主婦、といった風貌だ。

 だが彼女、三橋紗子こそが、この『フルール』を纏める管理人なのだった。


「裁縫の件もそうですけど、いつも翡翠を学校まで迎えに行っていだいて――」

「あー、その件はいい、っていつも言ってるだろ。あたしが好きでやってるんだ。この子が孫のように可愛いせいでね」


 碧の感謝の言葉を遮り、三橋は笑いながら細い手を左右に振る。

翡翠は、碧の勤務先である白鷺小学校に通っている。だが、翡翠は生まれつき重度の足の障碍を持っているため、普通の子と同じように自分の足で登下校することができない。登校時は、碧と一緒に家を出て、碧の運転する車で学校まで送る。一方で下校時は碧が勤務時間中のため、碧が家まで送り届けることができない。そこで、三橋は自分が車で迎えに行くと提案してくれたのだ。無論、さすがに厚意に甘えるわけにはいかない、と碧は何度も断ろうとした。しかし、「放課後とはいえ、養護教諭が保健室を空けるわけにはいかないだろ」と押し切られたのだった。


「あたしがちょっとやり方を教えてあげると、この子はずっと頑張っていたんだ。大した集中力だよ」


 三橋は、布きれを手に取ると、碧に向けて広げて見せる。


「この子なりに、少しでもあんたの力になりたいと思って、努力しているんだよ」

「えへへ」


 褒められたことに照れているのか、翡翠は小鼻を指で掻いた。それを眩しそうに眺めながら、三橋は碧に新たな話題を振る。


「そうそう、こないだ教えてあげたオニオングラタンスープは、上手くできたかい」

「はい、おかげ様で」


 微笑みを返す碧に、三橋は満足そうに頷く。

 月に一度、碧は休日を利用して三橋から料理指導を受けている。翡翠の食事の栄養バランスを第一に考えると、できるだけ自炊した方が良い、と考えたからだ。


「そいつは良かった。今度は白身魚のホイル蒸しを教えてあげるよ」


 弟子の練習成果を喜びながら、三橋は翡翠の頭を撫でる。くすぐったそうな表情を浮かべながらも、翡翠はその手を受け入れた。


「それでは失礼します。翡翠、お家に帰ろう」

「うんっ! さようなら、三橋さん!」

「ああ、ちょっとお待ち」


 三橋に呼び止められ、碧は足を止める。翡翠はそれを見て、「じゃ、先にお家に帰っているね」と言って、車椅子を玄関の方へと漕いでいった。大人の話をすると察して、気を使ってくれたらしい。翡翠が玄関の扉を閉めて出て行ったことを、音で確認してから三橋は布きれをテーブルの上に置いた。


「あの子は今年で一〇歳になって、そろそろ難しい年頃に差し掛かろうとしているんだ」


 三橋が何を言いたいのか、碧は見当もつかない。


「あの子も、いつまでも片親だけじゃ寂しいだろう。あんたもあまり若くないんだ、誰かいい人と結婚する予定はあるのかい? あんたさえ良ければ、あたしが見合い相手を探してもいいんだよ。男と女、どちらの相手を頼まれてもね」

「結婚、ですか」


 どう返せば良いのか判断できず、碧は後頭部を軽く掻く。この一〇年間、子育てと仕事で手一杯だったので、恋愛や結婚など考えたこともなかったのだ。


「あんたの『心と身体の事情』は、あたしも知っているさ。だけど、あの子の幸せを思えば、母親の温もりも必要なんじゃないかねえ」

「……そう、かもしれませんね」


 碧は現在も性決定の手術を受けていない。その一方で、表向きは昔と同じように男性として生きている。法的にも、結婚する権利を持っていた。


 碧の心と身体の事情は、マンション入居の際に三橋に打ち明けてある。同時に、翡翠の出生の秘密についても。それらを聞いた上で、三橋は碧達親子をこのマンションに受け入れてくれたのだ。翡翠の下校時の迎えなども含め、碧は三橋に何かと世話になっている。


 三橋は白髪の入り混じった髪を軽く掻きつつ、碧の顔を真剣なまなざしで見つめる。


「これを聞くのは野暮だとは分かっているけどさ。その身体については仕方がないとしても。せめて心だけでも、男として生きるか、女として生きるか。どちらか一方だけを選んだ方が、あんたも少しは肩の力を抜いて生きていけるんじゃないのかい? まあ、人間の心の在り方っていうのは、簡単に割り切れる単純な問題じゃないし。何よりも、私が性的少数者の苦悩について、まだまだ何にも分かっちゃいない無知で、この質問はただの軽率な偏見と差別に過ぎないのかもしれない。無神経な話に気を悪くしたら、すまないね」


 三橋は、けっして面白半分でその質問をしたわけではない。もう六年近くも世話になっているのだ。本心から碧と翡翠を心配してくれていることは、碧も理解できる。その心遣いが素直に嬉しかった。


「確かに、男か女かはっきりさせた方が、生きやすいんだろうと思います。僕自身、若いころはこの心と身体をずっと憎んでいましたから。中途半端さと折り合いをつけられたのは、翡翠がいてくれたおかげなんです」


 碧は自身の胸にそっと手を置く。形良く膨らんだ乳房が、スーツの内に隠されていた。声は、現在も未だに変声期を迎えておらず、少女のように透き通る音色だ。


 これまでに碧は自分の心と身体について、翡翠に説明を試みたことが何度かある。だが、翡翠は碧の特異さについて、いまいち理解できていなかった。赤子の頃からずっと碧と一緒に暮らしてきた翡翠にとって、親の心と身体は何もおかしくないと認識しているようだ。それゆえに、翡翠の出生の秘密についての説明も、もうしばらくの時間が必要だった。


 そんな翡翠も今年で小学四年生であり、そろそろ性教育の授業を受ける頃合いだ(授業は養護教諭の碧が主となって進める)。二次性徴による自身の身体の変化と共に、碧の異質さに気づき始めてもおかしくはない。それに合わせて碧も性教育の補習を兼ねて、改めて少しずつ説明していくつもりだった。


「翡翠を妊娠するよりも、ずっと昔。自分の心と身体の性について悩んでいた僕に、亡くなった父がこう言いました。『大事なのは、自分の心が自分自身をどんな性として好きになれるか。好きになった相手と、どんな性として一緒に歩んでいきたいのか。どんな家庭を築いていきたいのか。治療で身体をどちらかの性に決定するのは、それらの答えを自分の中ではっきりさせたときにしなさい』――って。父は恋愛関係について話していましたけど、僕はその教えが親子関係にも当てはまると思うんです。僕は父親と母親、どちらの性として翡翠を愛してあげればいいのか。迷った末に、両方の道を選びました」


 一〇年前の妊娠と出産に伴い、当時の碧は女性ホルモンを体内に投与され続けた。元々、性ホルモンの絶妙なバランスの上で成り立っていた碧の身体は、均衡が大きく崩れてしまった。出産を終えたころには、女性化へと大きく傾いていた身体つき。そのまま治療で女性ホルモンを投与し続け、精巣の摘出等の手術を行なっていた場合、はたして本当に女性の身体になっていたのか。


 ……だが、それはできない事情があった。


 当時は、碧の身体機能に異常を起こし、生命の危機に繋がりかねない病状だったのだ。検査を重ね、各種数値の些細な変化も見逃さず。男女それぞれの性ホルモンを慎重に調節し、交互に投与し続けていった。そうして、三年もの月日を治療に費やしたおかげで、ようやく健康水準まで回復。両方の性ホルモンを通常からかけ離れた投与の治療を続けたことで、結果的に妊娠前の『男とも女ともいえない身体』に近い身体になった。碧の場合、その状態が健康的に安定するようだ。


 無論、完全な元通りにはなれなかった。あそこまで奇跡的な身体は再現不可能だ。昔から中性的だった外見は、女性寄りのままを残した。瑞希いわく、「楚々とした色気を帯びた細身の肢体」らしい。二人で酔っぱらった際に乳房も揉まれたが、程よい弾力と柔らかさがある、と羨ましがられた。身体のラインを誤魔化すため、碧は外を出歩くとき、真夏であっても大きめのサイズの服を重ね着する。ただ、服売り場での試着中など、不覚にも何度か見知らぬ他人に裸(股間は咄嗟にどうにか隠した)を見られてしまった際、毎回女性と判断されていた。ついでに、治療の副産物なのかは不明だが。全体的に肌が瑞々しさを保ち、未だに顔には皴が一切なく若々しい――を通り越して、あまりに幼すぎた。


「その考えに至る決め手は何だったんだい?」

「翡翠は僕の精子と卵子で生まれた子ですから、僕はあの子の父親でもあり、母親でもあります。それなのに、自分の性の片方を捨てるのは、あの子の親を半分否定し、殺すことに繋がるんじゃないか、って思ったんです。身体については、選択する無茶ができなくなりましたけど。せめて心だけでも、父親としての自分と母親としての自分、両方を肯定しよう、って。かといって、あの子が僕の身体と心のことを理解したら、親という存在そのものを信じられなくなるかもしれません。いっそのこと、僕が心だけでもどちらかの性を選び、翡翠の出生の事情も全て伏せておけば、あの子に大きなショックを与えずに済むかもしれない、と考えたこともあります。また、僕の心と身体のことが周囲に発覚すれば、あの子が巻き添えの差別を受ける恐れもありますし。おかげで決断に踏み切るには、とても時間がかかりました。その末に、この中途半端な性を続けて、父親と母親の二人分の愛情を翡翠に注いであげよう、と決めたんです」


 秘密にできるのであれば、最後まで秘密にするのが一番良い。だが碧には、そうしようとして最悪の失敗を犯した、苦い経験がある。自分の心と身体のことを周囲に伏せていたせいで、かえって友人達を傷つけてしまった。同じ過ちを、再び繰り返さないという保証はどこにもない。


 それゆえに碧は答えを出す際、自らに一つの戒めを与えた。それは絶対に、「碧が二度と傷つかないため」の言い訳にしてはならない、ということだ。一〇年前の失敗も、結局は同種の心の弱さが招いたものであった。自分の心を守るためではなく、「翡翠ができるだけ傷つかないようにするため」には、どうすれば良いのか。それを第一に考えて、碧は結論を出したつもりだ。ベストな解答であったのかどうかは、未だに分からないが。


 碧の言葉に嘘偽りがないことを感じたのか、三橋は「そうかい」と呟いて頷いた。


「あの子のことを大事に思って、その道を進もうと決めたのなら、私が口を挟む問題じゃないね。無神経な質問をしてすまなかった」

「いえ、お気遣いいただき、本当に感謝しています。それと、結婚については正直言って、今まで特に考えたことがありませんでした。けど、そろそろ僕も真剣に向き合わなければいけないと思います」

「そう片意地を張る必要はないさ。でも、見合いの件については、その気になったらいつでもおいで」

「はい、そのときはよろしくお願いしますね。それでは、失礼します」


 碧は丁寧に会釈し、管理人室から退室した。玄関の扉を静かに閉めてから、息を吐く。


「母親の温もり、か」


 翡翠は、自身の母親について特に尋ねてきたことがなかった。だが、本音では母親の愛情を求めているのかもしれない。授業参観などの機会でクラスメイトの母親を見たとき、どう思っているのか。碧とて、それを考えたことは何度もある。碧が父親と母親の二役を担おうとしても、翡翠の方は碧だけでは不足だ、と感じる場面もあるのだろうか。これから思春期を迎えれば、母親にしか話せない相談事も出てくるだろう。


 結婚とは、人生を共に歩むパートナーを選ぶことだ。その相手は、碧の心と身体のことを受け入れてくれ、翡翠を娘として愛してくれる人物であってほしい。無論、碧も相手とその家族を愛せるよう、努力を惜しまないつもりである。……だが、碧はこれまでに特定の人物と交際をした経験がないので、恋愛についてのノウハウが皆無に等しい。


「まあ、こちらにとって都合の良すぎる人は、そうそういないだろうけど。……やっぱり、翡翠には寂しい思いをさせているのかなぁ」

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