055~

055「斬壺(きりつぼ)」/木下望太郎さん ※本文引用あり※

https://kakuyomu.jp/works/16816700429059636654



 こちらの自主企画から。


【※企画内容必読※】美しい文章で綴られた作品の本棚

https://kakuyomu.jp/user_events/16817330663734879159


 自主企画参加作品一覧のページで確認できるあらすじの文字数って、だいたい85~90文字っぽいです(PC調べ)。スマホ画面でもおそらく同じくらいかと思います。

 そこで読める100文字弱で、作品ページまで見にいくかどうかの判断をするんです。私の場合。

 今作の、自主企画参加一覧で確認できるあらすじ部分を引用します。


【以下、あらすじ引用】


 秘太刀“斬壺(きりつぼ)”。  その技を以て、老剣客はかつて岩を斬り、壺を斬った――割ることも砕くこともなく、真二つに――。  ただしそれができたのは、若き日のたった二度だけ。…


【あらすじ引用終わり】


 この短文で醸し出される、色気溢れる文章力ったら、絶対間違いないでしょ?

 文章が上手い人の書く文章はね、こんなに短くても絶対それがわかるんですよ!! そりゃもう間違いなかった!!!

 普段は歴史ものとかバトルものとかあまり読まないのですが、たったこれだけの文章でするすると引き寄せられてしまいました。



 歴史や伝記でも、結局私が読みたいのは「人間ドラマ」です。


 たった一万千文字ちょっとの中に込められた、今作の人間ドラマの濃さときたら、ガツンと殴られたような衝撃がありました。主要人物四人しかいないのに。

 以下、勝手な関係図。(お父さんについてはほぼ想像です)


 弟 :器用な秀才

    (↑コンプレックス)

 剛佐:不器用な努力の天才 (→超えられない壁) 父:器用な秀才

    (↓コンプレックス)

 童 :天然の天才


 コンプレックスだらけの主人公がプライドずたずたになり、最後の最後で命を削って辿り着く流派奥義の境地。


【以下本文引用(「最終話」より)】


(前略)最初に触れたものを、何の抵抗もなく斬り裂きながら。


【本文引用終わり】


 この伏線回収からのエピローグですよ!! 痺れました。


 その後の、童の成長物語もちょっと読みたいですね。あの子、最後に辿り着くのか、あれに。一回だけ。

 ほんっと、剛佐さん不器用な天才だったんだなと、エピローグ部分で改めて武士の生き様を感じて、つくづく切なかったです。



 あと戦闘描写ですが、これがまた……! 精密かつ濃厚で、小説でしか表現できない、小説で読むべきってこういう作品なのだと思いました。

 漫画だと効果線いっぱい使って逆にチープになりそうだし、映像化したら一瞬で終わってしまうからってスローモーションの演出にしても、あの緊迫感はなかなか出せないでしょう。

 文字の、文章の、表現って無限だなと改めて思いました。語彙力がないのでこれ以上は「凄かった」しか言えない。

 とりあえず感想に漢字は使いたい。

 凄かった。


 大変、面白かったです。

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