[2018年6月8日金曜日]第13章 『蛇遣座・解説編』

※注意!!


『有限と同時に無限の物語』の本編とは関係のない解説章です。

ネタバレを含むので、本編を読んでいない方はご注意ください!





肯定

テツガクちゃん、お疲れ様!

お蔭で、無事『有限と同時に無限の物語』を完結できました!



テツガクちゃん

 肯定さんこそ、お疲れ様です。

 細かい修正が無事に終わってよかったです!


 ところで、全12章の物語なのに、どうして13章目が出ているんですか!?



肯定

 いえ、この物語。少し分かり難いかな、と思いまして。

 解説編、と思ってもらえたら……と。だから、本編には関係ありません。

 

 それでは始めますか!



1、題材になった映画



肯定

 この物語のモデルになった映画といいますか。

 影響を受け、参考にさせて頂いた映画があります。

 まず、その映画の紹介です。


 物語の展開という意味では『メメント』という作品の影響を受けました。『二つの世界の話が交互に入り、時間の進み方が違う』という要素です。

 僕達の物語では『夢の世界』と『起きてる世界』。この二つの世界があります。そして、夢の世界の話が『過去から未来へ』進むのに対し、起きてる世界の話は『未来から過去へ』進みます。


 物語の章を12星座の順に並べると、大体の時系列が見えてくると思います。



テツガクちゃん

 細かい時系列はどうなんですか?

 例えば、牡牛座の後が双子座だと分かると思いますが、その後の蟹座からの関係はどうなんでしょう?

 起きてる世界の肯定さんは、いつから私を認識していたのでしょうか?



肯定

 そうだよね。

 実は……曖昧です!

 山羊座の後、水瓶座なのでそこから認識した、と言えますが……。


 他の射手座、天秤座も認識していそうだよね。

 でないと、普通考えないでしょう! 『有限の世界』と『無限の世界』についてとか。

 だから、起きてる世界で、いつから夢の世界を認識したのかは曖昧ですね……。


 『メメント』ほど、そういうところがしっかりしていませんが、そこが僕達流でいいんじゃないでしょうか? と言い訳をしておきます。



テツガクちゃん

 他に参考にした映画はありますか!?



肯定

 ありますとも!

 もう一つは『インセプション』ですよ!

 先ほどの映画と同じ、クリストファー・ノーラン監督の映画です。

 夢の中で進む物語ですが、かなり影響を受けています。

 この2作はとてもお勧めです。というより、ノーラン監督の映画は全て面白いです!


 いつか、『ダークナイト』系の物語ができたらいいよね。



テツガクちゃん

 私がジョーカーですか!?



肯定

 テツガクちゃん……凄くジョーカーをやりたそうだけど、それは別の人に頼む予定で。

 僕達は強敵に翻弄される側で考えていたよ。ごめんね。



テツガクちゃん

 そうなんですか……。

 ジョーカーやりたかったです……。



肯定

 元気だして! テツガクちゃん!

 「そのしかめ面はなんだ?」と、ジョーカーも言っていますよ。

 まだ、企画もないから、僕達がジョーカー側ってのもありかもね!


 さて、後一つ参考にした映画があります!

 それは『アザーズ』という映画です。

 ええ、僕が双子座で、昼寝をする前にみた映画です。

 他にも影響を受けた映画があるかもしれませんが、一応自分で認識している3つの映画の紹介でした。



2、夢の世界と起きてる世界の区別。



テツガクちゃん

 そういえば、二つの世界の区別をどうやって考えたんですか?

 はっきりと違うと書いてしまうと、面白さが減ってしまいそうですし、隠しすぎると分かりませんよね?



肯定

 もちろん、僕もそう思いました!

 だから、まずルールを決めました。

 夢の世界を『休みの日』と表現して、起きてる世界を『休日』と表現しました。

 夢の世界は寝て身体を休めてる時に入る世界なので、そういう意味で『休みの日』です。身体や脳を休める時間。



テツガクちゃん

 なるほど!

 そういえば、文章の入り方や終わり方も決まっていましたね!


 起きてる世界では、『今日は休日。』という入り方で、『そんなことを考え、今日も一日が終わる。おやすみ……。』と終わっています。

 夢の世界では『眩しい……朝か。』と入り、『僕はその暗闇の世界へ消えて行く。次に出会う光の世界ために。』と終わっています。

 これでも区別をつけていますよね?



肯定

 その通り! くどかったかもしれないけど、そのルールを守った方が伝わるかな? と思い。そちらを優先しました。

 だから、一応世界の区別はできた、と思います。個人的にですが。



3、世界の様子を曖昧に。



テツガクちゃん

 夢の世界では描写が曖昧ですよね?

 喫茶店にどうやって向かったか、などが書かれていません。

 気づけば、いつもそこにいますね。



肯定

 そうだね。『インセプション』でもそうだったけど、夢ってそうじゃない?

 まるで映画のワンシーンみたいに、突然そこにいる。

 さっきまでカリブ海にいたと思ったら、宇宙にいたとかさ。

 そういう曖昧さが許されるかな? と考え、思い切り曖昧にしました。


 一方、起きてる世界もけっこう曖昧なんだよね。

 どこにいるかなどは書かれていない。きっと自分の部屋だと思うけど。



テツガクちゃん

 なるほど!

 両方の世界が曖昧だと、『そういうものかな』と思えますね!

 ですが、あえて書かないことは、それはそれで難しそうですね。


 いつも起きるところから始まるのに、突然喫茶店にいる。

 普通なら布団からお店までのことを書きたくなりそうです。

 少なくとも私なら書きたいです!



4、だけど細かい部分は明確に。



肯定

 さっき『世界の様子は曖昧にした』と言いましたが、細かく注意した部分も実はあるんですよ!

 例えば、『夢の世界での空模様』とか!

 読者の方は、「毎回くどいな~」と思われたかもしれませんが、『明るい白色の雲がある』という印象を残して起きたかったんです。

 最後に、実はそれは雲ではなく、『白い果てのない世界だった』としたかったので。


 そうです。あの夢の世界は、牡羊座に出た『宇宙も消えたら?』という質問の答えの世界です。

 もし、赤と答えたら、赤い雲が広がる世界だったでしょうね。



テツガクちゃん

 他にも拘ったところはありますか!?



肯定

 ありますよ!

 牡牛座で少女と出会うよね?

 ずっと、『少女』と書いていたけど、「君のことは忘れない」と誓った後の文章。

 『消えて行く彼女に別れを告げ』という部分はわざと『少女』から『彼女』に変えました。


 もしかしたら、読み進めていくうちに、その箇所で少女の姿に気づく人もいるかもしれない、と思ったので。



5、ヒントをたくさん置いておく。



テツガクちゃん

 先ほどの『少女』を最後だけ『彼女』と変えるヒント以外にも、たくさんのヒントがありましたよね?



肯定

 これは僕の流儀でね。「詐欺師は嘘はつかない。だから騙される!」という『ホワイトカラー』のニール師匠のスタイルなんだよ。


 例えば、『永遠と同時に一瞬』この単語はどれくらい出ただろうか?

 牡羊座、天秤座の二つで出ている。

 それから、双子座では、『永い時間に思えたが、一瞬のようにも感じる』という言い回しを使っている。

 これらは、魚座へ繋げるヒントなんですよ。



テツガクちゃん

 そうだったんですか!

 そういえば、『時の砂』という単語もよく出ますね。

 水瓶座、射手座、獅子座、魚座。これも狙っていますよね?


 他にも『今日の限り』や『一日の限り』という『限り』を使う単語もよくでています。

 蟹座、乙女座、蠍座。夢の世界の別れ際で、『限り』という言い回しをあえて選びましたよね?




肯定

 その通り!

 一応、タイトルが『有限と同時に無限の物語』なのでね。

 『限り』はこの話の鍵になっています。


 それと、『一歩踏み出す』に近い言葉をたくさん使ったのもね。

 本来なら一歩ではすまないことも、夢の世界では一瞬で変化する部分をイメージしました。


 そこに違和感を感じた人もいるでしょう。

 そんなあなた、素晴らしい洞察力ですよ!



6、偶然のラッキーパンチ。



テツガクちゃん

 さすが、肯定さんです。

 全てが計算されていたんですね!



肯定

 いえ……実は、偶然が生んだラッキーパンチもたくさんあったんですよ。


 例えば、最初、章のサブタイトルは『オーシャンズ11』のメンバーの名前を考えていたんですよ。

 ダニー、ラスティ、フランク……と。

 話がちょうど11章だったので。



テツガクちゃん

 11章ですか?

 でも、実際は12章ですよね?



肯定

 最初、牡羊座が0章で。

 11章を書き終えて、ちょうど11か。じゃあ、好きな映画『オーシャンズ11』のメンバーの名前でいこう! と考えていたんですよ。


 でも、0章をカウントし忘れて、これ12個あるよ!? となってしまってね。

 そこで、12について考えたら、12星座にすればいいじゃない! となりました。



テツガクちゃん

 凄い偶然のサブタイトルだったんですね!



肯定

 そうなんですよ。テツガクちゃんのテキトウ・テツガクを使わせてもらいましたよ。


 それから偶然のラッキーパンチはこれだけじゃないんですよ!

 天秤座の内容です。

 偶然、この章が起きてる世界の話で、物語の大切な鍵を解説する章になりました。

 『限りを計る時間』という秤、という言い回しも偶然でした。

 物語の中でも『秤』という単語は天秤座と魚座しかありません。

 これは完全な偶然のラッキーパンチです。


 だから、全てが計算通りではなかったんですよ!



7、実は体験の話も混ざっている。



テツガクちゃん

 様々な映画の内容から上手くここまで作りましたね! 肯定さん!



肯定

 実は、実際の体験の話も混ざっているんだよ。

 最初に紹介した3つの映画の影響は自覚しているし、他にも無意識に影響を受けた作品もあるかもしれない。


 でも、牡羊座や牡牛座、双子座は実際の体験だよ。

 館の夢はちゃんと見たし、夢の中で誓ったのも嘘じゃない。それをいつか誰かに話す、と確信したことも。


 それから、寝れない時にやる習慣は嘘じゃないよ。

 あれ、子供の時によくやっていたんだよ。

 今は、重力の影響で効き目が薄いけどね。


 もし、よければ是非、試してみてください!

 あなたの探求者が現れるかもしれないです!



テツガクちゃん

 現れるかもしれません!




8、魚座の世界は?



テツガクちゃん

 そういえば、魚座の世界は他の『無限の世界』とはちょっと違いますよね?

 


肯定

 そうだね。牡牛、蟹、乙女、蠍、山羊。

 ここまでは僕が見ている夢の世界。

 だけど、魚座の世界は、僕が作った物語の世界。


 起きている時に物語を書いているから、他の時よりも安定して永く留まっていられるし、世界を思い通りに変えられるんだよ。


 だから、魚座だけ同じ『無限の世界』でも少し他とは違うかな。



テツガクちゃん

 肯定さんは、他の夢の世界では世界を変えられないのですか?



肯定

 いや、変えられると思うよ。

 ただ、それは無意識で変えていると思う。

 

 みなさんもそうでしょう?

 自分が見る夢は、自分の無意識が生み出した世界。

 意識的に変えられるか、無意識で変えるかの違いです。



9、最初に魔法をかけたのは?



肯定

 魚座の話では、僕が夢の世界で思い通りに世界を変えるから、それを『魔法』だとテツガクちゃんは言ったよね?



テツガクちゃん

 そうですよ! あれは魔法です!

 凄く特別なことです!

 魔法は特別だから魔法なんですよ!



肯定

 たしかに突然本を出したり、空の色を変えると、特別に思えるかもしれないね。


 だけど、それは人なら誰しもが持つ当たり前。想像力のお蔭。

 夢の世界や物語の世界は創り手の思い通り。

 例え、魔法のように特別だと思えることでもね。


 だけど、その創り手を動かす特別があるんですよ。



テツガクちゃん

 それはなんですか!?



肯定

 それだよ。

 テツガクちゃんの『それはなんですか!?』という好奇心から来るテツガク的思考。

 『どうしてだろうか?』と考える力が、僕にとっては魔法なんですよ。


 だから、物語の最初。牡羊座の話の方が、僕には魔法という印象なんですよ。


 そう、魔法を使ったのは僕じゃなくて、テツガクちゃん。

 最初にテツガクちゃんが僕に魔法をかけてる。



テツガクちゃん

 えー、『それはなんですか!?』と質問するのは魔法じゃないですよ! 普通のことです!



肯定

 そうだね。

 だけど、その普通がそもそも特別なんですよ。

 テツガクちゃんの当たり前の普通が、僕には特別で。僕の当たり前の普通が、テツガクちゃんの特別。


 テツガクちゃんから始まった牡羊座の魔法が、最後の魚座で使われ、また始まりに戻る、という感じでいいじゃないですか?






 さて、この辺で13章『蛇遣座・解説編』はお別れです。

 それでは、また次の機会にお会いしましょう。


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[2018年6月4日月曜日]有限と同時に無限の物語 テツガク肯定 @tetugakukoutei

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