10分シナリオ集

十分クトゥルフ『ひと夢の扉』

 ――基本情報――――――――――

プレイ時間:十分程度

プレイ人数:一人~

推奨技能:〈目星〉




――導入――――――――――

 ある日あなた方が見た夢には、ふんわりと面識のある人の姿がありました。その日あなた方は同じ夢を見たのです。不思議で静かな安寧の夢でした。



――注意!――――――――――

 シナリオの途中、夢の住人と出会ったのちのことですが、


「ここには邪神様がいるよ。こんなこと教えていいのかって質問を予想して言っておくけど、全然平気。僕に興味を持って来てくれたみたいだね。今は機嫌がいいよ」


 という夢の住人のセリフを、探索者に聞かせてください。

 シナリオの設定上必要なことです。どこでもいいので、これだけお願いします。


――探索開始:明らかな情報――――――――――

 →以下の情報は技能ロールなしでも分かるものです。聞かれたり、困っていたら伝えてください。


・夢のありかた

『大きな扉の前で始まるこの夢。そこにはあなた方以外の参加者がいませんでした』


・扉について

『大きな扉です。扉の模様は幾何学模様のようであって、何かの模様……でしょうか? 意識を向けても模様はおぼろげで、ふわふわとした定まらない印象を与えられます。夢らしい登場物でした』



――シナリオ本編:KP用―――――――――――

・扉に〈目星〉:さらなる情報提供

『扉には大きなかんぬきがついていました』


・かんぬきに接触:

『そばから声が聞こえます。かすかな声です』


・かすかな声が聞こえてから〈聞き耳〉:結果は問わず情報提供。失敗で瞬時に〈一時間経過〉

「それはかんぬき。扉の横に固定して、簡単には開けないようにするものだよ」


・上記の声の方を見ると:NPC"夢の住人"登場。

「いらっしゃい、ここはあなたの夢。あなた達の夢。起きるまでの時間だけど、ゆっくりしていってね……?」


――キャラデータ:夢の住人―――――

 名前:夢の住人

 説明:探索者の夢に登場するNPC。探索者個人の想像する外見に姿を変え、探索者に話しかけ、また話を聞く。

――――――――――――――――――



――データベース:夢の住人の発言―――――

 ・ここはどこかと聞く:返答

「ここはあなたの夢の中。……これ、さっきも言ったはずなんだけど、何度聞いてもいいよ。ごゆっくり」


 ・あなたは誰かと聞く:返答

「僕は夢の住人。けん案内人、兼傍観者、兼あなたの想像の人格。そのどれでもある、気がする」


 ・今は何時かと聞く:プレイしている現在時刻を返答される。

 ・なぜここにいるのかと聞く:返答

「その質問には至極しごく簡単に答えられるけど、ただ答えるだけにはくだらない質問だ。そこで僕からも質問させてもらうよ。"僕はあなたが寝ているからここにいると思っている"けれど、そうは思わない?」


 ・『夢の世界』について聞く:返答

「夢の世界なんて、今ここにはないよ。ここはあなたが作った想像の中。なにも世界みたいな広大なものじゃなく、必要最低限のものだけが存在する……ううん、そんなこと、君は考える必要はない。夢を見ているうちは、難しいことを整理する時間だ」


 ・何をすれば、どうすればいいのか聞く:返答

「夢から醒めたきゃ、まずはそこの扉を開けてみることだね」


(扉を開けるにはかんぬきを抜く必要がある。)


 ・かんぬきについて聞く:返答

「かんぬきっていうのは、扉についてるそれだね。扉を開こうとしても、かんぬきが壁に、もしくは扉同士にひっかかって開かない。そういう簡単な仕組みのものだよ。かんぬきが広く使われていた頃は、木製のものが一般的だったみたい」


 ・その他の質問に使える雑な返答集:

「寝たくても寝れない時って、あるよね。それは夢でも同じ。夢から醒めたくても、簡単には醒められない、ってこともご愛敬あいきょう

「夢ならなんだってできるよ。君だって、なんだってできる。少しの制限はあってもね」

「明日はどんな日だろうね。君は昨日と同じ君なんだろうか。どう、気になるね? 君は早く明日になって欲しいって思う?」

「どうにでもなるよ。ここは夢だから。ごちゃごちゃした記憶が作る夢の中だから。試しにカップケーキを取り出してみればわかる」

「早起きは安眠の敵だ!」

―――――――――――――――――――――



――シナリオ終了部分:扉を開く――――――――――

 ・世界を上下180度回転させ、かんぬきを抜く:エンディング

 探索者は夢の中にいながら、かんぬきと共に落下していきます。そこで夢の住人の声が聞こえました。

「これこそ僕が望んだエンディングだ。ということは、僕は君が想像したのだから、これは君が望んだエンディングだ。……ってことを信じようとしない人もいる。だから言うよ。君との時間は楽しかった。また明日会おう」

 そこで夢の住人が笑いました。少しの力んだ笑みを張り付けて。

「でも僕は夢の中の住人だから、ここからは出られないし、君はこのことを忘れるだろう。邪神様は理不尽なものでね、僕の話はこれでおしまい」

 得体の知れない存在が夢の住人の背後に現れます。

 その姿はおぼろげで、よく理解できませんが、すごく冒涜的でした。

「じゃあね。でも本当に、楽しかった」

 →"最後の文"へ



 ・その他の方法でかんぬきを抜く:エンディング

 (一応書いておきますが、かんぬきはSTR14との対抗ロールで抜けます)

 (夢ですので、世界をどのようにも作り替えられます。筋肉ムキムキにしたり、かんぬきを破壊したり、どのようにでもできます)

 夢の住人が言いました。

「うん、十分だ。でも、これでは僕が望んだものには至っていない」

 夢の住人がそう言うと、あなた方個人の視界には小窓の姿が現れます。小窓に実体はなくどんどん近づいて、あなたは何をするともなく一つの小窓をくぐりました。

 そこで夢の住人の声が聞こえます。

「僕の物語はここでおしまい」

 小窓の先には夢の住人と、得体の知れない存在がいました。

「邪神様、あんまり満足していないって。なんていうのかな、理不尽? っていうのかな」

 得体の知れない存在は姿がおぼろげで分かりません。分かりませんが、すごく冒涜的に笑いました。

「君はそのままでいい。とても良い条件の良い形で話がまとまったんだ。犠牲は僕という"想像の産物"だけでいいってさ」

 そこで世界が上下180度反転し、あなた方は上下逆さのまま落ちていきます。

「たのしかった。もうぼくのことはかんがえないで。そうぞうしないで」

「またね」

 最後にそんな言葉が聞こえました。〈邪神の概念的な微笑みに撫でられて〈SANチェック0/1d3》

 →"最後の文"へ


 ・最後の文

『あなた方は目を醒まします。何だか分かりませんが内臓の何かがひっくり返るような感じがします。今日も"夢を見ることのない良い睡眠でした"』


 シナリオ終了。報酬はSAN値回復1d3。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

暇なら始めるクトゥルフ神話TRPG しゃべるそら @Ludier_kak

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ